「一度でいいから見てみたい ダムの水が 抜けた底」
どうも、肥後ジャーナルムトーです。
歌丸師匠の若いころってとんでもなく色気ムンムンでしたよね。
今回は、そんな歌丸師匠にならって
一度でいいから見てみたかった市房ダムの水が完全に抜けているところにお邪魔してきました。
市房ダムにやってまいりました
最初に訪れたのは、市房ダムの水を抜いて土砂の撤去作業を行っている味岡建設株式会社本社。
「そんな珍しくもないけど…」と恐縮されておられましたが、十分珍しい。
人生においてダムの底を見たことがある、なんならそこに立ったことがある経験がある人のほうが少数派と言えるでしょう。そこで今回
市房ダムの湖底に立ちたい!とお願いし、安全な場所からであればと特別に許可をいただきました。
許可が出れば善は急げ。その足でやってきたのは、水上村にある市房ダムの上流付近。
カラフルなトラックがびゃんびゃん土砂を運び出しています。
聞くと、毎年この秋の時期に市房ダム内に溜まった土砂をかき出す作業を行っているのだそう。
今回お話を伺った 味岡建設株式会社 丸尾さん
「まずお聞きしたいのがダムの湖底の場所です。どこですか?」
「ん?ここです。今立っておられるのがダムの湖底」
え??あっ!ここ!!??
普通に立って歩いていたこの場所が、一度でいいから見てみたいと思っていたダムの底だとは。
「僕は今、市房ダムの湖底にいます!!」
確かに周囲をよく見ると草が生えている方向が水中でよく見るアレだ。
というかダムの底ってコンクリートではなく土なんですね。初めて知りました。
「ダムの中に土砂が堆積するとその分、水かさが増してしまうんですよ。そこで毎年この時期に土砂を撤去しているんですね」
秋に行うのは単に気候がいいからではなく
このように川を作って行うのですが、水をここでせき止めている状態のため。
梅雨時期や夏は雨がよく降るので、比較的雨が少なく、安全に工事ができるこの時期に行っているのだそう。
「あとはこの地域特有なのもあるのですが…夏場までは鮎のシーズンでしょ。気を付けて作業はしていますが、もし川に土が流れてしまったら鮎に影響があるかもしれませんし。またちゃんと漁協などにも許可をとってできる限り環境に配慮しながら作業を行っています」
この流木は先の豪雨で流れてきたものではなく、今年の台風で流れてきたもの。
「台風でこんな大きな木が…」
確かにこんな大きな流木が住宅地が多くある下流に流れだしたら大変なことです。
「だけん毎年、行っているんですよ」
土砂をすくってトラックに載せて土砂を運び出すという途方もない作業。
すくった土砂を積んだトラックは、振動や渋滞そして何より地域住民に考慮し、一度に3台までしか動かせないんですって。
市房ダムの湖底に立ったら何が見えるのだろう。
そう思っていたのですが
「当たり前にライフラインがあって当たり前に生活できていること」
これって誰かの仕事の上に成り立っているんだなという、そんな初歩的で大事なことをすっかりと忘れ生きていたことを思い出せました。
「この流木や土砂って山からきているんですよね」
「そうですね、なので山のダムこと砂防ダムがもっと大きなものを受け止める役割を果たしていますね。
…見ます?」
見ます!
山のダムこと砂防ダム
続いてやってきたのは、湯前町中猪にある建設中の砂防ダム。
こういう風に詳しく工事内容書いてあると、地域の方も安心しますね。
「はいつきましたー。ここが砂防ダムです」
でっかい。
どんくらいでっかいのかというと
こんくらいデカい。
「ここまで付いてきてアレですが砂防ダムとは何なんですか」
「もう簡単にいうと土砂災害を防止するものですね。ほら今見える白いコンクリがあるでしょ。あの真ん中にスリットっていう格子状の網を張ります。それで流木や大きな石が下の住宅地に行かないようにしとるとですよ」
イマイチ腑に落ちなかったのですがこの写真を見て納得。
工事前のお写真をお借りしたのですが、土砂崩れが起こって当時はこんな感じになってたんだそう。
「だけん、まずはそん土砂とか流れてきたやつの撤去ですたいね」
調査の結果、この砂防ダムはこの1基のみで耐えうるとのことだったのですが、中には2基3基と必要になることもあるのだとか。
「1基でもこんな大きいのに、これが2基3基ってなるともう想像もつかないほどですね。しかもどう見ても山肌なのでそんな上流とかどう行けばいいのやら」
「複数、砂防ダムを作る場合には別に工事用の道路を作りますね、でないと作業できんですもん。もしくはミカン運ぶような感じでトロッコとかですね」
ちなみにどう見ても急斜面なこの壁でどうやって伐採したのかと聞いたところ
「重機ですたい」
とのこと。
絶対ひっくり返ると思うのですが「ひっくり返らんよ。人力のほうが無理」と。さすがプロ。
ちなみに本当に足場が悪いところは、大きな木に腰紐をくくり命綱にして作業をしているのだとか。
現場に行くたびに「ここは写真や文字だけじゃ伝わらんな」と思うことも多いのですが
この災害復旧の工事は、本当に実際に見てほしい。なんとも言い難い感情がジワジワと押し寄せてくるんですよ。でもそれは「災害ツライ」とかじゃなくて、なんでこんな大事な仕事をしている人たちに気が付かなったんだという感情のほうが強かったように思います。
実際に災害時には、自衛隊の方と一緒に行動することも少なくないのだとか。
「でもつらか事ばっかじゃなかっですよ。工事終わったあとに地域の人から、わー助かりましたありがとねって言われたらそれでもう疲れは吹き飛びます」
目の前にある道路も、山に遊びに行くための土砂止めもすべて「あって当たり前」だと思っていましたが、このように現場の方々が県民の安心安全を全力で守ってくれているんだなと改めて感じました。
これは実際に見てほしい(申し込みは締め切りました)
「これは実際にこの現場見てほしいですね。工事完成したらそもそも入られんし見れんし」
「そういえばですね…
今月23日にこのツアーがありますのでぜひ!県内の小中学生とその保護者が今回は対象ですけど、必ず大人が1人おるなら親子じゃなくても大丈夫です。当日は見学だけではなく様々なイベントをご準備していますので気になるかたはお早目に!」
熊本の建設事業にまつわるあれこれを発信している
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ライター紹介
ムトー
肥後ジャーナル編集長。 「人はなんで痩せなきゃいけないのかな」という思考にまで達したのでもうきっと痩せません。 気にしません。
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