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完成すれば熊本市から大分市まで2時間15分!現在工事中の「滝室坂トンネル」内部に潜入してみた

ライター:ムトー ムトー

昨年、国道57号線の代替ルートとして、二重峠トンネルのニュースが熊本県内をにぎわせましたね。もちろん肥後ジャーナルでもそのニュースを見てました。

テレビの報道で。

そりゃそうですよね。取材しているのってガチなニュース報道や新聞社ですもん。いくら「肥後”ジャーナル”」っていったって、これ単なる名前ですもん。いつもふざけてばかりなサイトにそんな真面目な案件がくる訳ないんです。

しかし奇跡が舞い降りました。

今回なんと「ぜひ肥後ジャーナルに滝室坂トンネルの内部取材をして欲しい」という夢のようなお申し出が。これ壮大なドッキリなんじゃないかと思いつつも、阿蘇市坂梨にある「滝室坂トンネル」まで行ってきました!


早速向かったのは阿蘇市坂梨

場所は、国道57号線から、なんさま大分方面にまっすぐ進むと、旧坂梨小学校の校舎が見えてきます。その先の坂梨交差点からギュンと左折。山道の中腹に滝室坂トンネルの工事現場があります。

担当者

こんにちは!阿蘇までようこそ!なんでも聞いてください!

ムトー

こちらこそよろしくお願いします!ん??お顔出しは…?

担当者

顔出しNGで!

ムトー

えっ!そんな!顔も名前も非公開だなんて、ヤラセ臭がすごいじゃないっすか!

担当者

恥ずかしいんですよ!!

あれよあれよとガチな勉強会に参加

早速トンネル内部に潜入!と思ったのですが、通されたのは謎の会議室のような部屋。

ムトー

あれ?トンネルはいずこ…

担当者

まずはここで勉強会に参加してもらいます!

…ガチやん。ガチ中のガチやん。

周り明らかに社員さんやん。ロックボルトの引き抜きで、皆「お~!!!」言うてますやん。

担当者

少しマニアックですかね(笑)

ムトー

正直なんでここにいるのかもよく分からなくなってきました…。

担当者

いや、ここからなんです!これから「なぜ滝室坂トンネルが必要なのか」そして「作ることで得られる県民のメリット」などをご説明させてもらいますから!

ムトー

(……長くなりそう)

出典:国土交通省九州地方整備局

やっぱり、そこそこ長かったので話を要約すると、

  • 熊本市内から大分市までトンネルが全線開通すれば2時間程度で行けるようになる
  • 緊急時の救急搬送など時短に繋がる
  • 防災機能の強化(災害時発生の代替路の確保)
  • 山道を超えなくて済むから、山道での運転が苦手な人でも問題なく走行可能

大きく分けるとこの4点が得られるメリットです。

しかし何事もメリットがあればデメリットもあるもの。滝室坂トンネルの場合は、阿蘇山の火山灰などが堆積した柔らかい土地であるために、非常に難しい工事になる事が予想されました。

そのため事前に、国土交通省は学識経験者などで構成する委員会を立ち上げ、地質・水門調査などを実施。最適な事業となるように、慎重に技術的な検討が行われたのです。

担当者

そこで今回、国土交通省によるプロジェクト「プリズム」を投入したんです。デメリットも解消できる。そう。それがプリズム。

ムトー

あの3人組でヒール履いて踊って歌う…

担当者

それポリリズム!違います。プリズムです!

プリズムとやらが画期的らしい

ムトー

阿蘇のトンネルとくれば、もう県民の脳内には高森の湧水トンネルしか思いつきません。あんな感じで「結局トンネルできませんっしたー!」とかってならないですよね?

担当者

あの頃とはまた時代も技術も違いますから。山が悪く難しいという事はトンネル工事ではよくある話なので、事前にしっかりと対策はとれています。

ムトー

安心しました!そして先ほど「問題点も解消できます。そう。プリズムならね」ってiPhoneのCMばりにおっしゃってましたけど。ワサモン(新しい物好き)な熊本県民としては、そこが気になります。そもそも論でプリズムって何ですか?

担当者

プリズムっていうのは…

ムトー

ストップ!その話長くなります?

担当者

少し

ムトー

それでは動画でどーぞ

ムトー

要は「行動モニタリングシステム」「生体データ解析」「3Dデータによる掘削管理」「遠隔立会システム」この4つが柱と。

担当者

ですね。あとは働き方改革でもあるんですよ。例えばトンネル工事はどうしても人と車両が行きかいますから、思わぬ事故に発展する事も少なくない。でも、可視カメラがあれば遠隔からでも見えますからね。より安全に作業が出来ます。

担当者

また口頭のみのバイタルチェックだと、どうしても自己申告で無理しちゃうときがありますよね。そこでヘルメットとリストバンドにセンサーを付けて、ストレス度や集中度、疲労度を測っています。

ムトー

なんこれ。肥後ジャーナルの事務所で、皆のストレス耐性を可視化させたいわ。

担当者

あとタブレットを使って、現場の映像をリアルタイムに発注者へ送信することも可能になりました。

担当者

ほら、現場が阿蘇でしょ。発注者が熊本市内であれば、ちょっとしたことでも気軽に来れる距離じゃありませんから、そういう時に便利なんですよね。

ムトー

でもトンネルの中って電波入らなくないですか?

担当者

あっトンネルの中にWi-Fi設置してます。

ムトー

やだ画期的!

トンネル内部に潜入!

一通りお勉強も終わったので、いよいよトンネル内部へと潜入!

ムトー

トンネルの上にあるのはデザインですか?

担当者

いえ、あれは「化粧木(けしょうぎ)」と呼ばれるものですね。あの特徴的な形は、伊勢神宮本殿の屋根の飾り木を模倣しているんですが…。要は山の神様に安全祈願してるんです。

ムトー

お守り的な?

担当者

そうですね。山の神様への信仰心と安全祈願です。ちなみにこれ豆知識なんですけど、化粧木の右(根元部)は天照大神、左(木先部)はウブヤフキアエズの命(桓武天皇の父親)を祭るとされています。

女性の神様ってことで、女性が入るとヤキモチやいちゃうので昔は女人禁制だったんですよ。

今はそんな事ないんでどんどん入ってください!

おおおおお!!!!

トンネル内部にもきちんとカメラが設置されていました。

謎の数字におびえていましたが、番号をふっているところに薬液を注入して、補強しているのだとか。

コンクリートを吹き付ける重機がメカっぽくてかっこいい。

ムトー

気づいてしまったんですが、この工事まだ完成までかなり先っぽくないですか?

担当者

そうですね~。一期の完成予定が平成33年3月を予定しています。その後二期に入る予定ですが、まだ予算も確定していない段階なので、現時点で「完成はいつになる」とは明言できないのが残念なんですが…。

ムトー

何年でも待ちます。もし完成したら一般公開前に、肥後ジャーナルまでぜひご連絡を。

担当者

ほんといつになるのかお約束できませんが、完成したらぜひ!

まとめ

2012年の九州北部豪雨で斜面が崩落したため40日もの間、通行止めになってしまった滝室坂。現在も140ミリ以上の連続豪雨などで通行止めになる事から、熊本―大分間の交通を守るため、今回新たに滝室坂トンネルを造っています。

今回、「プリズム」によって、日本で初めて様々な最新デジタル技術を用いた工事ですから、全国的にも注目度が高いトンネルです。

しかも将来的には、現在57号線の代替として工事中の二重峠トンネルとも繋がる予定との事!今後ますます阿蘇そして大分県へのルートが快適になる事が期待できます!

詳しくはこちら

【プリズム詳細はQRコードでも確認できます】

ライター紹介

ムトー

ムトー

肥後ジャーナル編集長。 「人はなんで痩せなきゃいけないのかな」という思考にまで達したのでもうきっと痩せません。 気にしません。

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