突然ですが皆さん、自分の思いを公衆の面前で吐露し、叫んだ経験ってありますか?
未成年の主張みたいな感じのアレです。
「うんうんよくあるよね」みたいなテンションで進めてますが、私は一度もそんな経験ありません。
どこかにそんなことができる場所ないかなと探したところ…
ありました。
南阿蘇で絶賛工事中の立野ダムの展望所、通称「たてのてらす」です。
こりゃいいやと思い、いっちょ行ってきました。
立野ダムについてお勉強
ということでやってまいりました。旧立野小学校跡地にある立野ダム広報室です。
「ただそこで叫びたい」
と言っても、管轄は国土交通省。そして何度も言いますが絶賛工事中。そんなことが許されるはずもありません。
しかし現場にさえ入ることができれば、ワンチャンあるかもしれない。
ということでまさかの雪が舞う中ここにいるといった次第です。
画面左の男性が今回案内していただく国土交通省九州地方整備局 石松さん。
「では早速1階のパネル展示からご案内しますね」
「はい、よろしくお願いします!」
1階には阿蘇の歴史の様子や過去の白川の氾濫の様子等がわかりやすく展示されています。
「北阿蘇に流れる川が黒川、南阿蘇を流れる川が白川なんですが、この川が合流するのがここ立野になるんです」
阿蘇のカルデラからちょっとくぼんでいる場所が立野地区。
阿蘇中の川の水量が立野に集結するものの、熊本市内への流域は極端に狭くなる地形なんです。
ご存じのように河川の氾濫は上流から下流にいくほど被害が大きくなるので、上流であるここにダムを作ることによって白川の氾濫を防ごうという目的なんだそう。
立野ダムは貯水して水を利用する「利水」タイプではなく、あくまで氾濫を抑える「治水」タイプのダムなので常に水が流れている流水型になります。
こんな感じで穴があいているのですが、そこからチョロチョロと上流からの水を調整することで下流域の氾濫を防止するんだそう。
「じゃ実際にやってみましょう」
「何もない状態、これが現在ですね。上から水を流すとそのまま下まで勢いが衰えることなく流れます」
「さあそこでダムの出番。水の通り口を制限したら…?」
「水量が変わる」
「そういうことです」
昭和28年6月に熊本市内を襲った白川の氾濫。今後同じようなことが起きないように、同等量の雨が降ったとしても対応ができるよう新たにダムを作ろう!となり、現在も工事が進められています。
「いつ頃完成予定なんでしょうか?」
「令和5年4月ですね」
令和5年…あ、今年か!!
さあお勉強も終わったところで本題の現場に向かってみましょう。
いざ!立野ダム内部!
さあいよいよやってきました。立野ダム。
なんか
想像よりも大きな機械がいっぱい。
これ夜間にライトアップしたらめっちゃかっこいいだろうな。
「夜間作業の際にはライトアップしてますよ。確かにかっこいいですね」
なんこれ!すごい!
そしてこれ!
荷物がビューって運ばれるのもそうなんですが
美空ひばりの名曲「川の流れのように」が大音量で鳴り響いていました。
「これはやはり現場の士気をあげるために?川だけに美空ひばり先生の名曲が…?」
「いえこれはあの空中に浮かんで運んでいるものがあるでしょ。注意してねという意味合いで流れる曲です。ちなみに毎月変わります」
「先月は?」
「先月は覚えてないんですがその前はドラクエのテーマでした」
何の曲にするのかは現場の若い社員さんが自主的に決めているのだそう。
そんな話をしていたら見つけました。
ドキドキのたてのてらす。
ふむ、やはり叫ぶならここがベスト。
たてのてらすから見える景色はこんな感じ。
名曲に乗せて現場の川も流れていました。
場所はここでヨシ!!
あとは叫んでもらう人を探すのみです。
未成年の主張ならぬ現場の主張
場所が決まればあとは叫ぶ人を探すのみ。
私が叫んでもいいのですが、せっかくならばここで働いている人に思いのたけをぶつけてほしいものですよね。ということで捕まえたのが西松建設 白武さん。
佐賀出身の白武さんは、2年前にこの立野ダムの現場にきて現在単身赴任中です。
「来月からは仙台に行きます」
「大変…なんでしょうけど仕事のご縁で色んな地域に行けるのは楽しそうなんて思ってしまいますが実際はいかがでしょう」
「大変だねーなんて言われがちですが実際はそうでもないんですよ。来月は、ずんだと牛タン堪能できるなって思ってます」
白武さんが建設業に従事するきっかけとなったのは幼少期からモノ作りが好きだったことが由縁。
「だから現場が楽しいんですよね。自分が思い描いたのが形になっていくってやっぱり面白いですし。建設業って3Kなイメージがあるんですが最近は極力、機械を使って作業を行う現場のほうが多いのでそんなキツさっていうのもないです」
この斜めのコンクリート部分も以前であれば外側から足場を組んで、人の手で斜めに加工して…という作業だったのですが、最近では最初から斜めにカットされているコンクリートが販売されているのでそれを使用したり
先ほどの空飛ぶ運び屋も、遠隔操作での作業でいけるので以前と比較するとさほど重労働ではなくなってきているのだとか。
「もちろん100%機械頼りではなく人力が必要なこともありますけど、そこは本当に危険ではないか?などのチェックも毎回行っていますし休みも必ず取らなくてはならないようになっています」
「お昼ご飯は宿舎に帰れば食堂はありますし、配達してくれる弁当屋さんもあるので比較的暖かいご飯を食べれてます。今日は唐揚げ弁当頼みました」
「なるほど…つまりアレですね。夢がかなったと」
「え?まあそうですね」
「何が3Kだと、自分は夢をもってこの職種についたんだと、それを主張したいと」
「え?」
「主張するのにちょうどいい場所を見つけたんですよ。大丈夫です、そうじゃないかと思って先に私がロケハンしといたんで」
「え?」
動揺する白武さんをさきほどの「たてのてらす」まで誘導。
さああとは現場で働く人の思いを存分に主張してもらいましょう。
大変お待たせしました。やっとたどり着けましたこの場所。
モノづくりが好きな幼少期から多感な青年期へ。
そして自分の世界だけで輝いていた自分が作ったモノが
今や地図に載るモノへ。
3Kなんて遠い過去。
さあ!叫んでください!!!
「夢かなったぞー!!!!」
叫んだ瞬間まさかの美空ひばりが再び大音量で鳴り響き、その姿はまさに不死鳥のように神々しく見えました。
「ありがとうございます!現場の主張、とても胸に響きました」
「いえ!なんか自分もスッキリして仙台に行けそうです!」
よかったよかった。
熊本の建設産業の魅力発信!
熊本県では「建設産業の力」として、建設産業の取り組みや業務内容を分かりやすく、かつ、正しく理解してもらうための取り組みを行っています。
普段我々が利用しているあの道もこの橋も、見ているダムも、すべて建設産業の力で成り立っているのですが、なかなか「じゃどうやって作られているの?」までは想像がつかないものですよね。
そんなシンプルな疑問であったり、また、実際に体験できるイベント等も告知されているので
モノづくりが好き!という子供から大人まで要チェックです!
また今回お邪魔した立野ダムでもホームページやSNSで工事の進捗やイベントのお知らせなどを発信しています。
広報室であれば平日9時~17時まで無料で見に行くことができますよ。
立野ダムのガチャやダムカードなどエンタメも充実。
完成まであとわずか!ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
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