ある日こんなものを見つけてしまいました。
一見、普通の乾燥剤ですが…
よく見ると
あらやだ!占いがついてる!
その内容、なかなかドライ。
そこで疑問が生じました。
これは一体誰が占っているのか問題です。
まさか社員会議で
「私からの中吉の案ですが”ドライなあの子もゾッコン”はいかがでしょう」
「いやそれは大吉であるべきですね。なぜならドライな人がゾッコンはもうハッピーでしかありません」
というような発表会があるのか。だったらその会議に参加して、どさくさにまぎれ「大吉!肥後ジャーナルを読んでドライなお肌がベチャベチャに」とか入れ込みたい。
会社を調べるとなんと玉名にある企業だったので、肥後ジャーナル占い案を採用してもらうべく乗り込んでみました。
ドライ占い誕生秘話
という訳でやってきました。玉名市下にある坂本石灰工業所。
有限会社坂本石灰工業 代表取締役 坂本達宣さん
「弊社の乾燥剤にご興味を持っていただきありがとうございます!占いもよくぞ見つけてくださいました!!」
よかった。まずは好感触。あとはいかにドライ占いの会議に潜入するか問題です。どうでもいいですが、ドライ占い会議とドラフト会議って文字の絵面が似てますね。書いてて混乱しそうです。
話を戻して、そもそもこのドライ占いがどうやって誕生したのかという経緯から教えていただきました。
「まずはこちらをご覧ください。恐らく普段目にする乾燥剤はこちらかと思います」
「ああそうですね。見覚えあります」
「これは水分を含むと発熱や発火する恐れがある乾燥剤です。そのため、記載できる内容も決まっています。にもかかわらず文字が見にくくありませんか?これじゃ良くないなと思ったのが始まりですね。あとこれが原因で契約切られたのもあります」
「は?」
聞くと、以前大口の取引があった企業から「うちは安全安心をうたっているのだから、こんな危険な商品は取り扱えない」と言われたのだそう。これによる損失は何億円規模。
いやいやどこの乾燥剤もそうだよ、なんでうちだけとショックだったのはもちろんでしたが問題は抱えている社員の生活。
このままでは近い将来、乾燥剤自体の存在も危ぶまれるのではないか。会社はもとより雇用している社員を守るために今すべきことは、水に濡れても発熱・発火しない乾燥剤を新たに作ることではないかと思いそこから18年、自宅のキッチンで研究に研究を重ねました。
「そしてできたのが、この乾燥剤I・Cです。水をかけても問題ないので従来の表記をする必要もなく、デザインを改良しました」
「なるほどスッキリと見やすい」
「でもね、今まで小さな文字があるのが当たり前だったからこのデザインだと物足りなく感じてしまいました」
「えっ」
まさかのスキマ埋めのため発案されたのがこのドライ占いという流れです。文字が見えにくい問題は材質を樹脂に変更することで解決。多少の遊び心を加えた発熱しない乾燥剤が玉名から生まれました。
「そんな歴史があったのですね。ところでこのドライ占いは誰の発案なのでしょう」
「私です」
「てっきり社員の方かと..」
「いえ私。もう大変でしたよ。ちなみに占いのバリエーションは100種類ほどあります」
占いに肥後ジャーナルを入れて案を伝えたところ「それも面白いねえ」と笑って流されました。あらやだドライ!!
石灰の可能性を追求
「水に濡れても発熱しない乾燥剤を作った」って、理系ではない私には想像がつかない世界。そもそも石灰って何なんでしょう。
「石灰石という石から採掘したものが石灰ですね」
石灰石は元々、海中にあったものですが何億年前に地盤隆起があり、それが現在、山で採掘されるものなんだそう。
詳しい歴史は分かっていないけれども、明治10年にこの表彰を受けているので、恐らくそれよりも前から石灰は我々の日常とともにあったということですね。
「サラリと大久保利通って書いてありますね」
「そうですね。乾燥剤しかり、我々の生活には石灰が非常に濃く絡んでいるんですよ。例えば工場の排水。そのまま流すとダメな化学物質もあるでしょ。それに石灰を混ぜるとpHが中和され流しても問題ない水質になったり、炭酸ガスを吸水したり。あとは自宅の壁の漆喰も石灰の仲間です」
「色んなところに使えるんですね」
現在は、水を濡らすことで発熱する性質を利用し、火を使わないお灸「OQUA」も販売中。
「とても小さなマーケットですが我々ができることは何なのかを模索し続けます」とのこと。
玉名にこんな面白い企業があるとは盲点でした。
ぜひお菓子や海苔を食べるときには「ドライ占いないかなあ」と探してみてはいかがでしょうか。
有限会社 坂本石灰工業所
住所 | 〒865-0013 熊本県玉名市下273-1 |
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HP | |
電話番号 | 0968-76-6165 |
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