秋が燃える頃、透明な水の上で、鯰の話に恋をした ~菊池市旭志弁利 乙姫湧水~
公開日: 2022.09.14
ライター:ひらの身体が疲れたなぁ、帰宅してすぐに横になる事も考えましたが、ここ最近急に涼しくなった風と良い天気をそのままにしておきのも、もったいない。どこか気分転換が出来るところはないかなぁと探していたら、菊池市旭志弁利に「乙姫湧水」という美しい場所を見つけたので行って参りました。
熊本市内からおよそ車で50分
菊池市旭志弁利を目指します。合志川沿いを車ですいすいと進んでいけますが、しっかりと見ていないと気付かない看板があります。
美しい田園風景です。
こちら、かなり小さな看板です。お見逃しなく。駐車場はありません。
入口の階段も小さく、あれ?ほんとうに何かある?と思う程。
しかし見つけました。
溢れだす透明
その日はすごくお水の多い日だったのかもしれません。
どどどどという音と共に、透明が秋に、夕陽に、溶けるように湧き出しておりました。
まるで「ない」かのような透明度は美しいの一言。ひやりと冷たいお水で顔を清めました。
こんなに素晴らしい湧き水がひっそりと存在していて、
周りも美しく、ゴミひとつなく、
ちょっとだけ水遊びも出来て、
子供が乗せて遊んだ石の名残があり、
空も高く、
あちこちから聞こえる水の音に囲まれて、
すっかり帰りたくなくなってしまいました。お金を使わなくて、これほどに贅沢な気分転換が出来るとは。
水神木のお話
道の向こうがわに
大きな大きな木があります。姫井の水神木と言うそうです。これはムクノキ。昔むかしここの木の下から噴水のように水が湧き出していたそう。
伝承ですが、阿蘇の乙姫様が、ここの湧き水につながる近くの神社の泉を眺めていた所、突然増水した川に飲まれてしまいました。すると、大きな鯰が姫を背中に乗せて助けて、そのまま消えてしまったというお話があります。今回神社には行けなかったのですが、そのような伝承からこの地域は
姫井、と呼ばれているそうです。さっと姿を消した大鯰が素敵です。自己顕示欲高めの今なら
大鯰「溺れていた姫を助けた!」
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なんてなりそうですが、この美しい風景の中で大鯰のやさしさをそっと語りついで、きっとその鯰がまだいるかもしれないと思える程に透明な川を保っていきたいです。
菊池遺産姫井橋
そして、乙姫湧水のすぐ側に姫井橋というものがありました。
小さな橋でしたが、とても素敵な風景として残っております。
碑文には「同形式の橋梁(きょうりょう)としては、我が国で唯一大正期に架設され、まだ現存する中で最も古く極めて貴重である、」と記してあります。
美しい川と古い橋と田んぼと
泉とお姫さまと大鯰の伝説。
とんでもなく素敵な景色はわりと身近に転がっているなぁと、
川べりに咲き始めた彼岸花に手を振って帰路に着いたのでした。
寒くなる前に是非お散歩がてらいかがでしょうか。
乙姫湧水
住所 | 菊池市旭志弁利 |
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駐車場 | なし 少し車が止められるスペースはあります。 近隣の方のご迷惑にならないようお気をつけください。 |
乙姫湧水地図 | |
姫井橋地図 |
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