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地獄で頭上から糸が垂れてきたら、私は汐月ハギレさんの糸をつかんで決して離さない。~汐月(しおつき)ハギレ 清水バイパス~

ライター:ひらの ひらの
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清水バイパスの桂花ラーメンさんの向かいに、「ハギレ」の赤い旗を見かけませんでしたか?実は長年、水前寺にあった「汐月ハギレ」さんが坪井に移転オープンされてもうすぐ一年が経とうとしているのです。洋服縫いのひらのが布を買いに突撃取材をしたので、新オーナーさん不在でいらしたのですが、色んなお話を聞かせて頂きました。


場所は清水バイパス、桂花ラーメン黒髪店のお向かい

赤い幟が目印。熊本市内方面から来ると左にあります。熊本市男女共同参画センターはあもにいより少し先になります。

駐車場はお店の横に二台。狭くて出入りが難しいなと思った時にはお店にお声掛けして、お客さん同士気を利かせて頂いたり、お店の方に周りを見て頂くなどされるといいと思います。

煌びやかさとは無縁な外観が、「よし宝物探しするぞ!」という気持ちにさせてくれます。オープンは9時半から16時まで。お休みは日曜日、祝日となっております。お間違いなく。

オープンtheドア

「こんにちは~」と扉を開くと、わぁ!

沢山の布たち。

たくさんの見本たち。

洋裁や手芸をする人ならアドレナリンが出っぱなしになる事間違いなしの品ぞろえ。そして安さ。私もお洋服を作るために生地を探しながら取材をさせていだたきました。

汐月(しおつき)を引き継ぐという事

元々は水前寺にあったという「汐月ハギレ」。私自身、学生時代から洋裁を勉強していたのですが、通学方面が真逆だった為、そちらの店舗の存在は残念ながら知らずに卒業。しかし、当時、家政科や被服科のあった学生さんもたくさん訪れられていたそう。

布は圧倒的にお洋服を作る人向けが多いかな。ニット生地、ウール生地、裏地、豊富です。

生地の内容も細かく書かれています。

汐月(しおつき)という響きがとても美しく思い、どういう意味ですか?と従業員の小林さんに聞いてみたところ、「前店舗の社長さんの苗字なんですよ」という事。水前寺にお店があった時の汐月社長さんは55歳から85歳まで「汐月ハギレ」をされていたそうです。

汐月さんは、85歳高齢という事で沢山のお客さんに惜しまれながら水前寺のお店を閉店されたそうです。

が、そこで元々お客さんでいらした現オーナー江田さんが、「”汐月”という名前、引き継がせてくださいと頼み、江田さんは、閉店の際は従業員の方と一生懸命片付けのお手伝いをされ、糸くずも埃も何一つなくお掃除されて、汐月ハギレというお店を引き継がれたそうです。

現オーナー江田さんの「汐月社長さんと前お店への尊敬の念」、そしてその江田さんの素晴らしい「想いによる働き」と、「このお店を絶対になくしたくないという強い気持ち」に、汐月社長さんを始め、皆さん感動され、今清水バイパスに「汐月ハギレ」はオープンしております。そして、前のお店から約20年汐月さんの元で働いてこられた従業員の小林さんも、引き続きお店番として働いておられます。

そんなこんなで、清水バイパスの今の「汐月ハギレ」のオープンは、水前寺閉店からおよそ二か月後の事でした。そしてもうすぐ一年が経とうとしています。

汐月さん、現オーナーの江田さん、従業員の小林さん。

それぞれに皆を尊敬され、信頼し、大切な関係を持ちながらお店を閉店、そしてオープンされている事に私はものすごく感動してしまいました。この何かといざこざ話しか聞かない昨今、こんなに温かい人間関係の話を聞いたのは久しぶりでした。

妄想が広がり、ついつい長居

どんな服を作ろうか、と考えながら布屋さんに居ると、あっという間に2時間経過はザラ。洋裁家あるある。

そこで

お手洗いがある!とっても嬉しい。そしてとってもレトロ。ご利用際は、手洗い、消毒をしっかりとお願い致します。

そしてなんと

二階もあります。気を付けて登って、気を付けて降りてきてくださいね。

二階は柔らかめの使いやすいデニム生地がとてもお安かった。デニムでワイドパンツを作ろうかな、なんて考えます。らくちんが一番。

肩パット一枚50円。久しぶりに見ました!学生時代にスーツを縫った時肩パットを入れるという作業があったのですが、私は先生から「あんたか肩の張っとるけん、肩パットは入れんでよかよ!」と言われて未だに謎作業。バブリーなスーツを作る時、是非学びなおしたいものです。

縫い、そして纏うという事

この日は、市販の服は買わず、全部手作りというお客さんがいらっしゃいました。すごい。しかもとてもおしゃれ。お写真をお願いしましたが、「すっぴんなのでNGという事」でした。

「ジャケットを作る」という事で従業員小林さんに色々とご相談されていました。お客さんもスペシャリストでしたが、この従業員の小林さんもかなりの在庫や場所や色んな事を知っておられるスペシャリスト。

従業員の小林さんは20年前に「汐月ハギレの店番」という事でなんとなく応募してお仕事を始められ、「従業員は宝」という考えの汐月社長さんから「何もできなくていいよ」と言われながらも、大切な事を丁寧に教えてとてもよくして頂き、20年が過ぎたそう。

汐月社長さんは昔、市役所などに入社許可を取り、スーツのオーダーを承って仕立てをされておられた職人さんだったそう。洋裁をかじった事のある私はそれを聞いただけで震えが。スーツのオーダー、そして、それをすべて一人で…。

夜通しで仕立てをされていたこともあるそうで、それで身体を壊された事あるとか。そういう方だったからこそ、遠くからお客さんが来られ、30年後に若い江田さん方引き継ぎを切望され、今につながっているのだなぁと。シンプルだけれども、人に尊敬され愛されるという事は、なかなか出来ない事だと思います。

そんな中、時代は婦人服の流れが来て、女性の方の洋裁教室などが流行り始めたため、汐月ハギレを始められたそうです。一時期は掛け持ちでされていたこともあるとか。

現「汐月ハギレ」は「出来る限り良い生地をお安く」、「そしてお客様への感謝の心」、を忘れずにこれからもお店を引き継いでいかれるそうです。前汐月ハギレとは仕入れの方法も商品も違いますが、お客様も、ここが無くなっては困るという方ばかり。まだ閉店移転した事をしらない方も多いそうなので、是非この記事を広めて頂けると幸いです。

従業員の小林さんとたくさんお話をさせて頂き、「私(ひらの)の学生時代の先生、怖かったですよ。泣きながら縫い直すなんでザラでした、笑」なんてお話をしていると「もしかして○○先生とかいらっしゃいました?」と。

ひえっっ、いらっしゃいました!

「たまに自転車で来られますよ」との事!わーすごい!お元気出そうで何より!!

若い頃に怒られ、叱られ、泣きながら得た事が今私の何よりの生きがいになっているのは確か。その事は当時は必死過ぎて全く分からなかったけれども、まるで少しずつ、糸を紡ぐように、布を縫い合わせるようにそっと寄り添ってくれている手仕事、そしてその想いはこの命が尽きるとき、どんな模様や色、形になっているでしょうか。

汐月ハギレさんの引継ぎが鮮やかであったように、尊敬や信頼でまだまだこの世の中が成り立っていけるという事をこちらのお店ではっきりと見れた事で、希望という糸が私の上にもぶら下がっているだと思いました。

※体調の悪い日は行かない、マスクをする、など、最低限のマナーを守ってのご来店をお願いいたします。

汐月ハギレ

住所

熊本市中央区坪井6丁目36-20

営業日

月曜日~土曜日

9時半~16時

定休日

日曜、祝日

駐車場

お店の横に2台あり

電話

096-344-2060

Instagram

@shiotsuki_hagire • Instagram写真と動画

電話番号 096-344-2060

ライター紹介

ひらの

ひらの

本が好き、映画が好き、作る事が好き、でライターに辿り着きました。 熊本県以外に住んだことがない、肥後純血種。

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