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とじる
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熊本市の商店街といえばどこを想像されるでしょうか。

けしてメジャーではないけれども、静かにそして大事に守っていらっしゃる「本妙寺商店街」にて3月7日までささやかなイルミネーションを行っています。

今回はこの本妙寺商店街で商売を営んでおられる素敵なご夫婦にインタビューを行いました。


まさに「ツイ(対)」で商売をされているご夫妻

本妙寺商店街の場所は熊本市西区花園。井芹川の近くです。

本妙寺通り。加藤清正公が山の上から見ておられる通りです。地震や建物の老朽化、地元の方の高齢化で、昔のような賑わいはなくなってしまいました。

それでも人々の生活は流れます。熊本の厳しい寒さ暑さを乗り越え、時には病気をしたりしながら、それでも毎日毎日ずっとそこにいる人。そんな方々で商店街は息をしています。

小林トヨ子さん(82)の営む「ツイ美容室」。

小林利行さん(86)の営む「こばやしサイクル」。ご夫婦でお向かいさん。

結婚や仕事、そして育児

丁寧に書かれているレシピ発見。

実は取材日の前日、ご主人の小林利行さんに取材許可を取りに伺ったのですが、「うちんとはそぎゃんと(取材や写真)すかんと思うぞ」とのこと。ドキドキしながら取材のお願いに行くと、奥様の小林トヨ子さんは「どうぞ~」とお家に入れてくださいました。

美容院独特のいい香り。美容院を始めて50年。美容組合から50年の表彰をもらったそうです。

25歳の時に30歳だった小林利行さんを紹介されて「よかごたる人ね」と思い結婚。翌年には男の子を出産されました。出会った時の夫の小林利行さんは早くにお母さんを亡くされており、妹さんと間借りをして暮らされていた時期だそうです。

50年前というと昭和46年くらい。その頃に美容師としてバリバリ働き、男の子を二人育てながらの生活はさぞかし大変な事ではなかったでしょうか。しかしその頃、とても人の好い良い住み込みの従業員さんが居られ、子供の保育園や遠足も行ってくれて、とてもよい環境だったと小林さんは話されました。

「よか従業員さんでほんとに助かりました。今でもお付き合いがあるよ」と。時給計算できない人の心。成り立つ生活。損得勘定だけで動いてしまう今の世の中。少しだけ、普通の人間として見直したい所です。

小林トヨ子さんは戦後小学校に通われ、その頃には戦争でお父さんのいない家庭もたくさんあり、一番上のお姉ちゃんが赤ちゃん(自分の兄弟)を連れて学校に登校したりもあったそう。「そういうこともあり、私たちの頃の育児はもっとのんびりしていたね。」と。小林さんのお子さんたちは市営バスで保育園に通い、車掌さんが乗り降りの面倒をみてくださっていたそうです。「今なら考えられないね!」とびっくり。

今息子さんたちは50代。「もう子供たちも50代か、早いね、早いねえ。」としみじみと話されておりました。未だに「子供たち」という呼び方にじんとします。

「なにか趣味はありますか?」と聞くと、これが出てきました。

椅子です。がっつり座れますが中は牛乳パックで作ってあります。

牛乳パック25,6本で作るそうで、あまりの布を継ぎ合わせて作っているそう。「そらたいぎゃ牛乳飲まなんね!」と笑うと「いろんな人に言うとくと持ってきてやらすよ!」との事。

こうやって三角にしてね、と。私も一つ頂きました。

私の家にて。可愛いでしょう?

小林トヨ子さん、顔出しはNG。本当につるっとされてお美しい肌に輝いている瞳なのに「あらららら!やだあ!だめだめ!」と頑なに断られてしまいました。

「こばやしサイクル」の小林利行さんという人

今度はご主人の「こばやしサイクル」にお邪魔。

意外にも写真あっさりOK。

「奥さんの所行ってきたよ!びりびりのテントばどがんかしてて、言いよらしたよ」と言うと「テントなぁ、はあはあ、もうボロボロだんもんな、なんか話はしたつね?」と言われたので「いーっぱい聞いてきたよ、仕事から結婚からなんでも。」「ほんなこつね!そぎゃん話したね、なんかよか話のあっただろか」「いーっぱいあったよ。」というと小林さんは「へえーはぁーほうほう」と一人で何やら微笑んでおられました。

綺麗に工具が並んでいます。クリントイーストウッドの映画「グラントリノ」みたいです。

「遊びでしよるとだもん」と小林さん。自転車一筋70年。「70年!なんが遊びね!すごかー!」と私が言うと「なーんも、わたしは、自転車の事しかしらんもんね」と。

それがすごいんじゃない!

いつまでも謙虚というか、全てへのまなざしが優しい小林さん。家族にも「お父さんお父さん」と慕われていると、奥様が言われていたのも納得してしまいます。

二人でぼんやりと通りを眺めました。

「クリントイーストウッドって知っとる?」「はあ?なんて?」「クリントイーストウッドって知ってますか!?」「クリン..あー知っとる知っとる、映画俳優のな!」「そうそう!花園のクリントイーストウッドって書いていい?小林さんの事。」「あははは、なーんなそらそら、ほうほう、ははは」。返事にならない返事に、二人で笑いました。

「どうもどうも~」とお客さんが来ました。「何か修理だったですか?」と私が聞くと「ツイさんの所でパーマしてもらう間自転車を置かせてもらってたんですよ。」と女性のお客さん。うなずきながら小林さんが自転車を出します。

陽があたたかくなって、自転車が気持ちよさそう。

そこへもう一人、女性Bが現れました。モテモテ!クリントイーストウッドだ。

なにやら、二人でぼそっとお話して小林さんが「うんうんうん」とうなずいています。

「なに?なんか今貰ったの?見せて下さい」と半ば強引な私が見たものは

「え??なん?魚たい!」「うん、いつも遊びに来てから、やらすとたい。」と。魚の切り身でした。魚の切り身!

写真を撮ろうとすると、小林さんは何故かそそくさと

預かっている自転車のかごにIN。はよ冷蔵庫に入れなっせ!!笑

今本妙寺商店街では夕方の6時からイルミネーションが付いています。3月7日まで。コロナ禍で桜灯篭が出来ないため、商店街をはじめとする地域の方々を元気づけるため、だそう。

小林さんも「うん!夜中なんかちかちかついとるな!」と。

小林さんは昨年顔の痛みを訴えてすぐに大きな病院に行かれましたが片方の目が見えなくなってしまいました。「その後どがんですか?」と聞くと「うん、見えんばってん、手術はなぁ~」と。色々あって手術はまだ出来ないそうですがあまり乗り気でもないようでした。

奥さんの美容院を眺めながら話す小林さん。

「いつまででくっだろうかねー。ここもな。」

「いつまででも出来るよ。」

「ころっと逝くならよかばってん。」

「逝かんでよ。」

午後7時くらいの本妙寺通り。

午後10時くらいになると、車もお店も明かりがないからもっときれいだよ、とおっしゃっていました。

派手でなく、地道に自分の好きな事を、真っ直ぐと生きてこられたお二人。最初にこのイルミネーションを見た時には「え、こんなものか」と思いましたが、お二人の居られる通りを温かく照らしているようで、心あたたかい気持ちになります。例えば某テーマパークのようにド派手なキラキラだったとしたら、明るすぎて見えないものもたくさんあったのだと思います。

それはまるで誰かの大げさではない人生のように、一定の明るさで、きらきらきらきらと輝いているのでした。

本妙寺商店街

ライター紹介

ひらの

ひらの

ひたすら映画を見ながら洋服を作る女。「好き」を見つけたらカメラを持って飛び出して行きます。

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