神社やお寺はいろんな由縁があって、お祀りするものがそれぞれに違うわけなのですが、
熊本県水上村に、日本でも数件しかない「猫を祀った御寺」があります。
生善院(しょうぜんいん)というお寺です。
やっぱり猫が好きなアナタ!一度は行っとかにゃん寺ですばいた!
水上村ってどこ?
宮崎県との県境にあり、球磨川の美しい渓流や深い山あいから見上げる自然の雄大さを満喫できる、風光明媚な熊本自慢の地域の1つです。
熊本市内からは車で2時間ちょいかかりますね。
記事末にマップを載せますが、結構マニアックな場所にあります。
駐車場の看板は、わりかし大きいのでわかりやすいです。
狛犬ならぬ狛猫がお出迎え
お寺の案内看板にも、しっかり「猫寺」と書いてあります。
門に向かって階段を上っていくと、お出迎えしてくれるのが
狛犬ならぬ狛猫。
ちゃんと「阿吽」の口になってます。
そこで疑問、神社にいるのが一般的だと思われてる狛犬(猫)。お寺に狛犬(猫)って珍しいの?と思いましたが、奈良時代の神仏習合〜明治時代の神仏分離令までに建てられたお寺には狛犬がいるのはメジャーなこと(ザックリ説明で申し訳ありません)。ちなみにこの猫寺こと生善院が建てられたのは1625年ごろ、江戸時代ですね。
門をくぐると左手に
神社!!??宮池稲荷大明神と書いてあります。猫の後に狐が登場するとは思わなかった。
寺院の中に神社…あ、でも清水寺の中にも鳥居があるもんなぁ。これも神仏習合の名残。
猫・猫・猫
寺務所には
お守りや絵馬や、干支ブレスレット(十二支に入れなかった猫の話は有名)
福鈴などなど
猫にまつわるものが色々置いてあります。
必ず視界の何処かに
猫が飛び込んできます。
お正月なので門松が出てたのですが、やっぱり
猫がいます。
しかし
不思議なことに、本物の猫は1匹も現れませんでした。
祀られている猫の名は「玉垂」
観音堂の方に足を進めると
淡島神社と書かれた、ミニ鳥居があり。その横には
ボケ防止の「ボケヨケ地蔵」さんもいます。
ここに納められている御本尊は、千手観音像。この寺院が建てられる所以となった、玖月善女(くげつぜんにょ)の影像だそうな。その玖月善女さんが可愛がっていた猫が「玉垂」(たまたれ)という名前。
こちらのイケメン猫様が玉垂です。しかしながらこの風貌からは想像できない、「化け猫」なのです。このお寺建立の由来が壮絶!
とある事件で息子を無実の罪で殺された母:玖月善女(くげつぜんにょ)は、その恨みをはらすため、愛猫「玉垂(たまたれ)」を連れて市房山神宮にこもり、自分の指を噛み切って神像に塗りつけ、またその血を玉垂にもなめさせ、自分と一緒に怨霊となって息子を陥れた相良藩に祟るよう言い含め、21日間の断食の後、「茂間が淵(もまがふち)」に玉垂を抱いて身を投じました。
すると間もなく相良藩では毎夜、猫の玉垂が首謀者を苦しめ、また息子を切った者は狂い死にし、次々に奇怪なことが起こり始めたのです。
そこで相良藩では祟りの恐ろしさから逃れるため、玖月善女親子、愛猫玉垂の霊を鎮めるため、普門寺跡に新しく生善院を建て、寛永2年(1625年)には別に観音堂を建て、法印の影仏として阿弥陀如来を、母の影仏として千手観音像を祀り、藩民には毎年3月16日には、15日の市房山神宮参詣(さんけい)とともに猫寺参詣を行うよう命じ、藩主自らもこれを実行したため、ようやく霊も静まったそうです。(水上村HPより抜粋)
猫ちゃんで埋め尽くされた寺院の裏にこんな血なまぐさい謂れがあったなんて…。
玉垂の館があったので覗いてみたら…
観音堂の横に
小屋を発見。「玉垂」って看板が付いています。ここに玉垂ちゃんがいるのかなと覗いてみた
こわっ
玉垂ちゃん化け猫バージョンがおったぁ!
子供が見たらトラウマなレベルの迫力。ウォーズマンのベアークロウのような指が今にも襲ってきそうなリアル化け猫です。
これ一見の価値アリっす。
忘れてないよ!忘れてないよ!
猫だらけの寺院、生善院をご紹介しました。
猫好きにとっては、聖地といっても過言ではないでしょう。
悲しい背景のもとに生まれた寺院ですが、地域の方や猫好きの方々に愛され、ひっそりと水上村を見守っています。
しかし、私伊藤は根っからの犬派、猫ばっかり贔屓にしおってと思ったら
犬のことも忘れてなかった!!
生善院観音堂
住所 | 〒868-0701 熊本県球磨郡水上村岩野3542 |
---|---|
駐車場 | あります 6台ほど |
問合せ | 水上村役場 教育委員会 |
ライター紹介
伊藤
演劇の先生やったり、アニソンやメタルのDJやったり、バンドやったり、サブカル好き思春期48歳独身。健康診断で中性脂肪が赤信号だったので、たまにジョギングすることにした。やっぱり犬が好き。
記事シェア