肥後ジャーナルをご覧の皆さま、ごきげんよう。
突然ですが作法って大事ですよね。例えば畳のヘリは踏んじゃいかんとか。
年齢を重ねれば「それくらい知っとかんと」という事項が多くなっていく気がします。
そんな中気づいたんですよ。
料亭での日本酒の正しい作法、知らねーなって。
そこで今回
熊本酒造組合にお願いをし、料亭での日本酒の作法をレクチャーしてもらいました!
料亭デビューしちゃった。
今回の舞台は、熊本市西区花園にある老舗料亭「田吾作」さんです。
明治28年創業ですから、今年で126年!もう門構えから趣たっぷり。
まるで老舗旅館のような重厚感。早速行ってみましょう。
もうね、一つひとつ魅了される空間なんですよ。
見ているだけで時間があっと過ぎてしまうほど魅了される手入れの行き届いた中庭や
光と影が壁のデザインのようになっていたり。
ここでゆっくりとコーヒー飲みたい。
基本的に個室なんですが、両家の顔合わせや結納などハレの日に利用される方が多いのだとか。
ランチ営業も行っているのですが、メニューなどはなく「事前にご予算をご相談いただければ」とのこと。格式です。
早速教えてもらいましょう。
2階のお部屋に通していただきました。
今回お話を受けてくださった熊本酒造組合は、その名のとおり県内の各蔵元が集結し、もっと県産酒を盛り上げていこう!と日々動いておられる方々。
今回はこの中から
熊本市南区川尻にある 瑞鷹株式会社 吉村健太郎さん
熊本県民なら「なんか名前だけは知っとる」じゃもうマズイ。赤酒マスターになるべく瑞鷹でクイズに挑戦してみた
山都町にある通潤酒造株式会社 山下泰雄さん
リニューアルした「通潤酒造 寛政蔵」でノンアル甘酒とゆっくりした時間を満喫してきた
山鹿市にある千代の園酒造株式会社 本田裕理さん
正月に飲んだ赤酒って余らん?千代の園に赤酒の活用方法を聞いてきた
高森町にある山村酒造合名会社 山村弥太郎さん
津奈木町にある亀萬酒造合資会社 竹田珠一さん
「つなぎ美術館」が有名な津奈木町…ってどこ?アート推しの町長とアート対決をした結果、津奈木町から帰れなくなった!
にお集りいただきレクチャーしてもらいました。
季節を感じさせるお料理たち。もう美味しそうで仕方ありません。
「では皆様そろそろ乾杯のご準備を」
「待ってください。この器の大きさの違いってなんでしょうか」
「田吾作さんでは、日本酒用に大きさが異なる器が2個準備してあるんですよ。自分が呑める量の器でお願いすればいいんですよ」
なるほどー。宴会の場合大体コップにビールが注がれるのでコップの大きさの違いってないですもんね。
順番にお姉さん方がお酌に回ってきてくれるので、大人しく待っておきましょう。
粋になりたい
全員に飲み物がきたら、県産酒でカンパーイ!
直前の取材でたまたま一緒だった元KKTアナウンサー井上千沙さん(※めちゃくちゃ日本酒好き)を、無理やり連行させました。
さあ問題はお酌。
ビールの場合であれば、自席においてある瓶を持参してくるくると回りますが、そもそも日本酒の場合ルールが違うのだとか。
正しい型を見せていただきたいので、今回は特別に、飲んでいるテイで
「みち乃家」の道子さんにやり方を見せてもらいました。
まずはずっと隣においてあって「謎だな」と思っていた器の蓋を開けます。
「この液体はなんですか?酒?」
「お水よ。杯洗(はいせん)って言うの。洗うためのね」
「洗う?何を??」
「まあ見ててください」
「まずはね、上座にいらっしゃる方のところに行ってお酒をおつぎするでしょ。それを飲んでしまわれたら、次はこっちの番」
「こっちの番」
「キュッといただく」
「キュッと」
「呑み終えたら口紅などをふき取るの」
「ふき取る」
「終わったら、先ほどのお水にちょいとつけて洗う」
「ちょい」
「あとはお水を切って…」
「切って?」
「先方に渡すの。そしてそのおちょこを受け取った相手も同じように呑んで、洗ってまたこちらに戻す。これを続けるの」
「延々と?」
「そうね、お酒がなくなるまで。基本」
なんということでしょう。
聞くと、昔から一つの盃で酒を酌み交わすことにより心を通わすと考えられており、盃がやりとりされていたんだそう。
ここでのポイントはお水で洗う際にバシャバシャつけずにサッと水にくぐらせるのが粋なんですって。
これは難しい。
山下社長もやってくださったのですが、とにかくこのお水を切るときがかっこいい。写真は撮れなかったのですが、昔ろくでなしブルースがきっかけで流行ったマッチ箱を指でパンパンパンってやるアレに似てます。かっこいい。
テレっとしてたらダメなんですよ。かといって慌てる様子でもなくスマートに。
これはすごい。
ただ酔っ払っている状態で果たしてこれができるのかが疑問。
「練習よ」
「そのうち慣れます(笑)」
あとは、徳利を持つ右手は、手の甲が上を向くように持つのが正しい注ぎ方なんですって。
私そのまま注いでいたら「あなたのやり方はまるで山賊よ!」って言われました。改めまして。山賊のムトーです。以後良しなに。
また一つ大人の階段をあがってしまった感
今はまだ感染予防のため、杯の回し呑みなんてご法度。
ただ今回はどうしても正しい作法が知りたいがゆえに、こちらが無理を言って、やっていただいた風を装いました。実際は回し呑みなんてしていません。ご協力いただいた熊本酒造組合の皆さま、本当にありがとうございます。
今回は料亭での日本酒の作法について学びましたが、皆さん口を揃えておっしゃってたのが
「楽しくお酒を呑んで欲しい」
という事。
マナーや作法も大事だけれども、それよりも楽しく呑んで笑って。その一役を日本酒が担えればこんなに幸せなことはない。と。
これからお正月などで県産酒を呑む機会も増えてきます。そんな場合、ぜひこの粋な飲み方をされてみてはいかがでしょうか。
年末年始は県産酒で乾杯!
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