アートは国境を越える!熊本と台湾の架け橋になるのは津奈木町!高雄の中山大学での交換留学報告会に潜入
公開日: 2025.03.14
ライター:伊藤

肥後ジャーナルで何度も取り上げている
津奈木町
寛容な町の姿勢のおかげで、何度も擦らせていただきました(笑)
ガリットチュウの福島さんとカラテカの矢部さんに来ていただき、マンガ対決してもらったり(記事はコチラ)
他には
不知火が見える!っていうので行ってみたら、御所浦の電灯だったり(記事はコチラ)
図々しく
町長の家に泊らせてもらったり、町長が描いたくまモンを思いっきりいじらせていただいたり(記事はコチラ)
本当にお世話になっています。
この度
熊本が日本に誇るアートの町である津奈木町が、ついに世界へ飛び立つ時が来たんです!
なんと、台湾とのアート交流プロジェクトが始動しています。
台湾へは、桃園空港・高雄空港への直行便が就航し、ぎゅっと距離が近くなりました。
そこへ来て、台湾とのアートプロジェクトなんて!津奈木町が熊本と台湾の芸術的架け橋となり、交流のトップランナーになるに違いない。
話を聞いてみた
津奈木町の取材のたびに登場する
津奈木町政策企画課の濱田さんです。
交流活動についてお話を聞きました。
「台湾とのアート交流って具体的に何か行ってるんですか?」
「もちろんやってます!去年の夏なんですが、津奈木と台湾の小学生同士で野球の親善試合をしました」
え
え
え
アートちゃうやん!
いやいや未来を担う子供達の国境を超えた交流は、非常に良いことです。
「つなぎ美術館では先月、台湾の新竹出身のアーティスト:ホワン・ピンリンさんを招聘して。津奈木町に3ヶ月間滞在してもらい、その間に制作した作品の成果展をしましたよ」
五十嵐靖晃「海渡り」 引用:つなぎ美術館 http://tsunagi-art.jp/blog/446/
「それと、陸と島を糸で結ぶアート作品<海渡り>の制作には、台湾の大学生が携わってくれました。その大学生がいる台湾高雄の中山大学で報告会と来年のPRにいきます…伊藤さん一緒に行きますか?」
「え!いいんですか!?行きたいです!」
「行きましょう!では、現地集合で」
一緒に行かないんかい!
という流れで、台湾に行ってきます。
実験小学校だと?
何やかんやトラブルありながらも、無事に台湾にて合流いたしました。
唐突に
同行していた津奈木町の地域おこし協力隊の方が
「えええ!」
と空港内に響く声をあげたので、何事かとおもえば
鹿がガードレールに捕まってる@津奈木町。
さて
最初の目的地は
台北市立博嘉国民小学(幼小一貫)
またの名を
博嘉実験小学。
実験…実験…とんねるずの実験くんしか出てこない。まさか、学生は全身白タイツ!?
「実験小学校とは学習指導要領や通常のカリキュラムに捉われない独自の教育を行なっている小学校です。日本でもすごく注目を集めている学校教育です」
すごい極端に言うと、5教科を教えるための学校ではなく生徒の意志を育てる学校です。
校内には
食堂があり(案内してくれたのは女性の校長先生)。
校長室には
キウイ柄の椅子があり
わんこもいます!!!!!(自由度高っ!)
先生方による学校紹介。
授業内容は、工作の展示や演劇の発表など生徒が創造(アート)することが中心。日本の小学校とも交流があり、今後津奈木町の小学生とも交流を進めていきたいとのこと、それに先立ち校長先生が口にしたのが
「まず今、姉妹校になりましょう!話はそこからで」
え!今!?ってか姉妹提携のまえに交流じゃないの?話早すぎ!
流石の超スピード感に濱田さんもタジタジ(笑)
校長先生が前のめりになる程、津奈木町のアート活動は魅力的なのです。
近い将来、津奈木町に熊本の先駆けとなる実験小学校ができるかも?多様な教育制度が求められる昨今です、この交流が子供達の自由な未来のきっかけになるかもしれません。
ちなみに校長先生の息子さんは、現在京都大学に通ってます。
教育方針チャート的なものを発見
占いの館に来たのかと思ったよ!
こんないい学校が公立だなんて、進んでるなぁ。でも公立だからその地域に住んでる子供達しか通えないのでは?
と思って聞いたら
抽選
で決まるそうです。
ホテルに防空壕!?
続いて向かったのは台湾の最北の地
基隆市(キールン)
1800年末日本統治時代に発展を遂げた港町です。
ここも津奈木町同様に、街並みをアート化しています。
見ての通り漁業が中心なので、建物なども古いものが多いのですが
建物にカラーリングしたり
ショップに見立てたバス停だったり
イカのオブジェが置いてあったり。
これらのアート活動は、公共の補助などに頼らずアーティストを海外から招聘したり、ワーキングホリデーで働いている若者たちと住民が手を組んだりして地道に「自分たちで」行なっている事業です。
立ち並ぶ店内も
古い建物をおしゃれにリフォームして活用しています。
私達が泊まったホテルも
1階が雑貨屋さん。
しかもこのホテルには
秘密の扉があって、ここを開けると
戦時中に掘られた防空壕が残ってるんです。現在は貯蔵庫として使っています。これぞ歴史の遺構アート!
津奈木町の石橋や海に浮かぶ赤崎小学校に通ずるものを感じました。
表現したいアーティストと磨き上げを試みる町側の受け入れ体制、双方の積極性をビンビン感じる街並みでした。
案内役のリンさん。この方がアートシティ基隆(←勝手に命名しました)創造メンバーの1人。歴史や港の生活と共存しながらアート活動を行なっています。
基隆の今とこれからをディスカッション。
津奈木町と基隆は、アート作品の合作や技術交流、食や農業を通じた交流などを見据えて手を取り合っていきましょうという話をしました。
その日の夜、リンさんたちの計らいで、火鍋をいただきました。
始めてこれ食べた
↓
豚の血を固めた「豬血」
これが結構な美味!
「また津奈木に行きたい!」中山大学
台湾高雄にある台湾最大級の大学
中山(チュウザン)大学。
学生数は約9,000人!(津奈木町の人口の約2倍)
大学の横が海なので、海をモチーフにしたイラストが描かれた階段。
とにかく広い。迷子にならないよう必死です。
これから津奈木町との交流報告会があるというので、教室にお邪魔しました。
学内をちょっと徘徊したのですが、驚愕…同じレイアウトの教室がない。それぞれに個性があるんです。
ワールドワイドな感覚だわ。
開講の時間が迫ると、満員に。立ち見まで出てましたよ。
台湾の方々は本当に日本が大好きだし、日本的な感覚や美的センス、考え方や式たりなど様々な分野に知的好奇心があります。会話しててもビシビシ伝わってくるんです。
さぁ濱田さんによります、津奈木町の紹介が始まりました。
・アートをテーマにした町づくり
・水俣病が及ぼす今までとこれから
・台湾の学生との交流の中で作り上げた「海渡り」
3つを軸に話されました。
台湾の学生も水俣病を知っている人は多く、公害の影響から目を背けるのでなく、向き合って悲劇や過ちに対する怒りや戒めを芸術としてアウトプットする手法に、興味を持っていました。
濱田さんの後は、留学に来た三人の学生が当時の様子と、感じたことを発表。
海渡りに携わった証となる「名入り木札」を津奈木町から贈呈。
海渡り創作活動の様子↑
その経験を通して、彼らが津奈木町と台湾のアート的橋渡し役として成長してくれるものと信じています!
その後、我々からの中山大学への質問
「うまい店教えて!」
にも
しっかり答えてくれました。多謝!
グルメ!食い倒れ!そして…
しっかりと、着実に台湾との架け橋になるキッカケを作れた今回の旅。
意義はもちろんそれだったんだけど、台湾に来たんだからやっぱグルメ大事よね。
高雄も基隆も津奈木も同じ漁師町。海鮮が美味い!
今回の旅で最高に美味しかったのが
永心鳳茶という高雄にあるお店で食べた
これ!
いくらの茶碗蒸し!
焼売もお姿がカワイイ。
締めのプリンは大人のほろ苦さがありましたね。
ただ、台湾ならではのものも忘れてないですよ、濱田さん初体験の
臭豆腐
香りの時点でこの顔
持って5秒で
「もう、無理です」
食べる前にギブアップ。台湾の洗礼を受けてもらいました。
沢山の方々にサポートしてもらいながら進行したアート交流旅。最後は
円卓を囲んで海鮮料理。
それはそれは美味しすぎて
許容範囲を超えるほど食べてしまった伊藤は
台湾で食い倒れる羽目になりました。おかげで台湾での薬の買い方も会得しました。
台湾アートの数々
駆け足にはなりますが、まだまだある台湾アートを紹介します。
津奈木町の方々も、芸術にあふれた街並みに感動しきりでした。
高雄の港町も基隆で見たような、レジデンスペインティングを施してました。
どうやって描いたんだろ↑
宗教が入り混じる夜景もアート的。
これは廃校を活用した図書館。
松本大洋先生のコーナーが作ってありました。
ホテルのロビーなんかも
吹き抜けなんかも
古い建物を活用していちいちオシャレ。そりゃ
グッドデザイン賞も獲るでしょ!
「都会的な発展による活気から設置されたアートもあれば。住んでいる土地の歴史に向き合う表現活動をしている方もいて刺激的でした。複雑な歴史の地層の上に自分達が立っていることを大切にしていました。それは津奈木町も変わらない大事な感覚だとと思います。表現活動(アート)によって本質的な感覚と出会うことは、教育の醸成を進め、人材育成にとって重要なものであると考えています。今回の交流の種が、互いの未来を創造するキッカケに繋がっていければと思っています」
ちょっと…
熊本県の町づくりに対して思うことは
アレやってダメ
これやってダメ
なら次はアレやってみよう
挑戦するのは良いのですが、大きな柱がないんですよ、いろんな自治体。
津奈木町のすごいところは、アートというテーマを一度掲げてそこから
ブレてない
からすごい。
アートって正解がないから、マネタイズも誘客も誘致もハードル高めだと思います。
しかし、今回の台湾アートツアーを通じて、アート性って全世界の人間に宿っているのもだから、パイは少なくてもカチッとハマる人や企業があると思います。津奈木町の未来は「世界に向かって自分の好きをブン回せる町」になってくれることを望みます。
ライター紹介

伊藤
演劇の先生やったり、アニソンやメタルのDJやったり、バンドやったり、サブカル好き思春期48歳独身。健康診断で中性脂肪が赤信号だったので、たまにジョギングすることにした。やっぱり犬が好き。
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