熊本にもアニメーション会社がある!でもどんな仕事内容なの?C2C(シーツーシー)に聞いてみた
公開日: 2025.03.21
ライター:ムトー

昨今、熊本で活気のある企業というと半導体なイメージがついてきましたが…
実はアニメーションを制作している企業があるってご存じでしょうか?
しかも毎週日曜17時からRKKで放送されている「シャングリラ・フロンティア」の制作に携わっているっていうすごい企業なんです。
とはいえ
実際、どんな仕事をしているのかがさっぱりとイメージできなかったので直接聞いてきました。
熊工で坊主、自衛隊でカリアゲ。そして下通でアニメ作ってる
アニメーションを制作している企業こと、株式会社C2C(シーツーシー)があるのは
ここ!
COCOSAの裏といいましょうか、横と言いましょうか。
下通アーケードと市役所のちょうど真ん中って感じの場所に
C2Cがあり、ここでスタッフが日々アニメーション制作を行っています。
今回、いろんなことを教えていただく株式会社C2C 早坂 一将さん。
熊本工業高校電気科を卒業後、陸上自衛隊北熊本駐屯地に就職。6年間勤務したあとにアニメーション制作会社に転職をしたという異色の経歴です。
「熊工から自衛隊はイメージがつくんですけど、そこからアニメーション制作会社ってふり幅すごいっすね」
「そうですね…。と言いますのも、僕の経歴が熊工から自衛隊じゃないですか」
「はい」
「髪の毛で遊べないんですよ…高校では坊主、自衛隊ではカリアゲ。だから次は髪型も服装も自由なところがいいって思ってて、あとはアニメに携わる仕事がしたいなあって思ってたんですよ。絵描けないけど」
「絵が描けないのに??」
「僕はアニメーターではなく、プロデューサーなんで絵は描けなくても大丈夫なんです」
もともと東京のC2Cに入社した早坂さんですが、熊本スタジオが立ち上がるということでUターンで戻ってきたのだそう。
ちなみに熊本スタジオでは、現在12名のスタッフが日々アニメーション制作業務を行っています。
完全なる分業
ところで絵をかけない早坂さんが、何がどうなってプロデューサーになったのでしょうか。
「実はアニメーション制作って、潤滑に現場が回るよう完全分業なんですよ。絵コンテやカット割りでは30人程度必要になるので、フリーのアニメーターを集めたりする制作進行の業務があったり。いろんな経験をさせてもらって今がそう(プロデューサー)って感じです」
「分業だったんですね。てっきり1つのことを皆でやっているのかと」
「いやいやめっちゃ色んなことしなきゃいけないんで。例えばシャングリラ・フロンティアの場合だと…」
「まず原作者、メーカーがいらっしゃって。監督や制作プロデューサーも交え、アニメーションではどんな展開にしていくのか、どんな構成にするのか、キャラデザは?など決めることが沢山あるんですね。そこから制作現場にまわってくるのですが」
「現場である制作会社もこんな感じで分かれているんです。なぜならアニメーション制作って結構時間がかかるんですよ。1話の尺なら平均3~4ヶ月はかかるので分業しないと回んないです」
キャラデザをはじめいろんな人が力を合わせて作っています。
「めっちゃ大変じゃないですか。今まで鼻ほじりながらボサーっと見てて申し訳ないです。でもそこまで分業ってなれば同じ職場内でもコミュニケーションとるのも難しそうですね」
「いえいえそこは気楽に見られてください(笑)。コミュニケーションは僕が重視しているところではあるんですけど。熊本ではとにかく同期を大切にしろと。熊工からの自衛隊という経験がここで活きるんですけど(笑)。おかげで熊本は結構皆、仲がいいほうじゃないですかね」
単になれ合いで仲良くなれと言っているわけではなく、将来どんなポジションにステップアップしても重要となるのはコミュニケーション能力。
「いや自分しゃべれないんで」は通用しない世界。
特に横のつながりが重要になってくるので、熊本ではこの部分を大切にしているのだそう。
どんな人が働いているの
熊本は全国初のマンガ学科がある高森高校を有する県ではありますが、実際に回りで「アニメーション制作会社で働いてるよ」って人をはそう多くありませんよね。
きっと働いている子は小さい頃から夢見て、それを現実にするという力を持つ、いわゆる猛者なのでしょう。
どんな人なのか気になるじゃないですか。
でもみんな忙しそうだったので…
アンケートをお願いしてみました。
「アンケート結果を見ると、小さいころから決めてた!というよりも、現実味をおびた大人になって決めた人の方が多いんですね」
「そうですね。ちょっと驚きました」
「驚きついでに、入社して驚いた事も聞きました」
自分が想像しているよりも、アニメの1コマを描くのが大変だと思った。たくさんの人が、協力して作っているのだと感じました。
土日しっかり休めることです(笑)
社内育成システム
同じことを指すのに、フリーの方も多く関係者として関わるため名称が人によって少しずつ違うのがアニメ用語ということに困惑しました。素材を理解できるようにならなければと必死についていこうとしていますが、それでもすぐに判断付かないことも多いので、その時は「2度目かも…」と思っても間違えたままの方がよくないので、上司や先輩に都度聞くように心がけています。
熊本スタジオは、東京スタジオとリモートとなるため、先輩方の実際のご作業などを見たり勉強させていただく面で心配でしたが、教育体制がとても整っており質問しやすい環境で、驚くと同時にとてもありがたいと感じています。
変な人がいておもしろい(チャリで200キロ走る人など)
自分が思っている仕事内容ややり方(動画や第二原画)が違って驚いた。
入社して3ヶ月経って思ったことはスタジオ内全体が仲が良すぎる
TP動検(動画に色が塗られた状態のものを動画検査すること)、話数動検(話数を担当する動画検査)は、以前の会社ではなかったシステムなので驚きました
アンケートで最も多かったのが社内研修がしっかりしてる!でした。
「例えばC2Cに入社したい!アニメーション制作会社に勤務したい!ってなった場合、今のうちから何かできることってあるんでしょうか」
「よく将来はアニメ関係の就職がしたいからアニメーションの専門学校にって考える子や親御さんが多いんですが、個人的には最近、美大に行ってる子もアニメーターに向いてるんじゃないかと思っています。今アニメの専門学校に通っている方はデッサン技術を重点的に練習しておくと後々困らないと思います!
静止画とアニメーションの描き方ってまったく別物なんですけど、別にそこは入社してからこっちが教えてあげられることなんで。
例えば手を伸ばすシーンひとつでも、人間が手を伸ばすときにどんな伸び方をしているのか、どんな筋肉を使っているのか、腕の回転はどうなっているのかをまったく知らない子は難しいんですよ。美大はそういったところを中心にしっかりと教わっているかと思いますので」
「我々世代では”な~ん!美大やら行っても就職先はないよ”なんて言われてましたが」
「アニメーターを目指すのなら美大という選択肢もアリだと思います!」
「ちなみに御社の倍率ってどのくらいなんでしょうか」
「2025年3月卒でいえば6人採用させていただきましたが、応募は100人は超えてましたね」
圧 倒 的 狭 き 門 !!!!
「そうですね!(笑)ありがたいことに…みなさまのご応募お待ちしています!」
プロフェッショナルな世界
「自分も挑戦してみたい!」と応募してくる子は年々増加しているそうですよ。
親世代もどんどん知識をアップデートしないと無駄な親子喧嘩に発展しそうですね。
いまや国内はおろか世界でも一大産業となっているのが日本のアニメ市場。それがここ熊本でも生み出されているなんて誇らしいことではないでしょうか。
C2Cが制作に携わっている「シャングリラ・フロンティア」は、毎週日曜17時からRKKで放送されていますよ!ぜひご覧ください。
©硬梨菜・不二涼介・講談社/「シャングリラ・フロンティア」製作委員会・MBS
ライター紹介

ムトー
肥後ジャーナル編集長。 「人はなんで痩せなきゃいけないのかな」という思考にまで達したのでもうきっと痩せません。 気にしません。
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