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くまもとの手しごとを暮らしの中に。熊本県産で四季を感じる生き方。

ライター:ムトー ムトー

主婦が憧れる代名詞のバルミューダ―トースターや、使い勝手のいい収納用品、無印良品のポリプロピレン整理ボックス、こすると消える文房具フリクション…そして、くまもと手しごと研究所。

一見何の繋がりもなく見えるくくりですが、これらはすべて2015年にグッドデザイン賞を獲得した研究所や商品です。

熊本県内でも、グッドデザイン賞を受賞している企業はごくわずかという狭き門にも関わらず、受賞した、くまもと手しごと研究所はなんとバーチャルの研究所。

今回、この2015年グッドデザイン賞を獲得した、くまもと手しごと研究所が「くまもとの風合い展」を熊本県民芸工芸館で展示していると聞いたので行ってきました。


2015年グッドデザイン賞を熊本のバーチャル研究所が受賞?

バーチャル研究所と聞くと、少し眉をひそめてしまいますが、2013年に、小野泰輔熊本県副知事とくまモン生みの親である小山薫堂さんのアイディアで始まった【熊本県くまもと手仕事ごよみ推進事業】の中で、WEB上だけのバーチャルな研究所としてうまれたのが、くまもと手しごと研究所です。

キュレーターと呼ばれる県内各地に在住する情報発信者が、それぞれ地元だからわかるディープなおすすめ情報をホームページに記事をアップするという研究所。

しかし今や熊本だけではなく、どこの都道府県でもWEBライターが地元の事を紹介しているサイトって存在しますよね。例えば肥後ジャーナルとか肥〇ジャーナルとか肥後〇ャーナルとか…

一体何が違うのだ!!と思い、受賞評価を確認すると

地域で実直に丁寧な手仕事を続けている人がいる。しかしその人たちはウェブを使って自分たちの仕事を広報することに長けていない事が多い。それを行政が応援し、美しいウェブサイトで手仕事の魅力を伝えているのは評価に値するだろう。手仕事が多くの人に知られるようになり、小さな経済が循環し始め、その仕事に興味を持った人が後継者になるような展開を期待したい。

なるほどなるほど…全く異なりますね!

早速くまもとの風合い展に行ってきた

今回、案内してもらったのは、企画担当者の真藤さん

入口入ってすぐに見えるのは、組子工法で作られた巨大なアーチ。そして正面には阿蘇の風景。ここで撮影をされる人も多いとか。

巨大なアーチを抜けると、まるで高級北欧家具のような洗練されたデザインの椅子が展示されていました。


こちらは南小国にあるインテリアライフスタイルブランド「FIL」さんの作品です。


デザイナーさんなんですか?


いえ、小国杉と南小国の環境を活かしたブランドです。小国杉って建材としての需要がほとんどでした。でも、外材が安く入ってきたり工法が変わったりして建材としての需要が先細りになってきました。
もちろん、道の駅などでプレートや端材を使った商品を展開していますが、じゃそれが恒久的に収入として反映するか?ってなったら、持続性はなかなかないのが現状です。


確かに…偶然道の駅に行けば、地場の商品を購入する気持ちにはなりますが、わざわざその工芸品を購入するために、道の駅に行こう!!とは考えにくいです。


そうでしょ?それで、穴井俊輔さんを中心に何ができるかワークショップなどで研究され、阿蘇の自然と人の関わりをベースとした、人と人、人と自然の繋がりの豊かさに着目されて、椅子やスツール、また溶岩でできたフレグランスなどを新進の若いデザイナーと共に作り、展開されています。

また美しい、心地よいだけではなく、着眼点も新鮮です。例えばこれ。溶岩は自然に穴が開いてますよね?そこにオイルを数滴落とすだけで自然に染みこんでいき、香を分散させます。

そして、その香り成分を抽出した後の杉の葉は、肥料として農地に活かす研究が進んでいるそうです。

ポットポプリの周辺には、心落ち着くいい香りが漂っていました。

展示のテーマは【つなぐ】

これなんか雰囲気いいっすね


これは津奈木の木魅会(もくみかい)が作った、ヒノキの照明ですね。発足したのは昨年ですが、すでに福岡でのインバウンド施設、KISS福岡 九州国際観光広場での施工や、タイのコンドミニアムで照明として使われたりして人気が高まっています。


津奈木がある県南の方って言えば、曲げわっぱ作りが有名ですもんね。


そうですね!しかし曲げわっぱは熱を加えて曲げるのに対し、この照明はそのまま手で薄板を曲げています。それだけ県南のヒノキは質がよく、粘りがある証拠です。この照明の熱で、ヒノキの自然の香りがホワッとでるのも、いい感じでしょ。


香り。そういや南小国も香り。


そうです。今回の展示は「つなぐ」がテーマですから、香りと香りで繋がるように意識しています。あとは各キュレーターおすすめの作品なども展示されていますから、どうぞゆっくりとご覧になってください。

曲げわっぱ弁当で、季節に応じた県内の食材を使ったお弁当記事を配信されているキュレーターさんや、ワークショップで簡単時短なクッキング教室を行っているキュレーターさんが、個人的におすすめできる!!と思った商品を展示していますから、安心感が違います。

メイドイン熊本は、なぜ心地いいのか本気出して考えてみた

熊本県産のものを購入っていうと、今までどうしても野菜などの食料品が先行しているイメージでしたが、暮らしに携わるモノだって出来るなら県産のものがいいって感じてる人は多いと思うんです。でもなんで熊本県産のモノってだけでこんなに愛着が出るんですかね?郷土愛??


郷土愛もそうでしょうが、購入することでその地域の仲間に入れるような気持ちになるんですよね。例えばこれは菊池のtournerの商品ですが

購入することで、なんだか菊池と繋がりができたような感じになる。

それが結果として、人とのつながりを愛することになる。だから買うときも使うときだって気持ちがいいんじゃないかって先日仮定しました。

突然の仮定


いやいや!!つい先日そんな話になって、みんなで真剣に考えてみたんです。なんで気持ちいいのかな?って。で、そういった仮定が生まれました。そのため今回の展示のテーマも「つなぐ」なんです。


言われれば確かにそうです。地元がどうこうよりも、きっとその地域の一員になれることが気持ちよくて。だからメイドイン熊本が愛されるんですね。

まとめ

食材であれば自然と季節の旬のものを取り入れたりするもの。それは誰からか強要された訳ではなく、自然とその方が美味しく、そして何より食べていて心地よくなるからではないでしょうか。

ビジュアルだけが好きなものに囲まれる暮らしはもう卒業した、オトナ世代だからこそわかるメイドイン熊本の使いやすさと、心地よさ、そして何より人と自然の結びつきをぜひ体感されてみてはいかがでしょうか。

昔ながらの工法だけど、デザイン性も重視した作品ばかりですから、暮らしの中に自然と溶け込み、きっと、豊かな生活を送るうえで心地よいエッセンスとなりますよ。

■くまもとの風合い展■

開催時間:9:00~17:00

開催期間:8月14日〜8月19日

入場料:無料

場所:熊本県伝統工芸館1階 展示場

ライター紹介

ムトー

ムトー

肥後ジャーナル編集長。 「人はなんで痩せなきゃいけないのかな」という思考にまで達したのでもうきっと痩せません。 気にしません。

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