江津湖からおはようございます。
肥後ジャーナルムトーです。
突然ですが、みなさん食べたことあります?
雷魚。
撮影者【DIVE BEARS 中隈太】
ライギョは、中国から朝鮮半島、アムール川流域までのロシア沿海地方に分布するカムルチー Channa argus を指す日本での呼称だが、広義にはタイワンドジョウ科 Channidae に分類される魚の総称としても用いられている。
指定外来魚にもなっているボヤーっとしている魚ですが、噛むとなかなかの破壊力。そして何より
デカい。
こんな沼の主みたいなんが実は熊本にウヨウヨといるんですよ。気になるじゃないですか。で、もし食べられる魚なら食べてみたいじゃないですか。
そんなことを芦北の釣りの時にもみんなに言ったんですが
「俺はよか!くしゃーもん!」って船長に一蹴され「全然そそられん」とカメラマンをしてた保護者にも止められました。
でもね
反対されればされるほど気になるもんで、気づけば管轄している熊本市環境共生課にやかましく電話してますよね。
「肥後ジャーナルのムトーです。雷魚捕獲して食べたいんですが許可してもらえないでしょうか」
「…え?」
非常にドン引きされましたが、粘りに粘り
たまたま11月11日に江津湖の外来魚駆除作業があるので、もし捕獲できたらいいですよとしぶしぶ了承を得られたのです。
なので私は今
江津湖におります。
今回は熊本の自然形態を脅かす外来種駆除という大義名分のもと、雷魚を食べてみたいと思います。
江津湖で外来魚0は難しい
今回ご同行いただくのは熊本市環境共生課北村さん。
最初に「雷魚釣りたい、なんなら食べたい」って伝えた時は遠慮なくドン引きしていましたが、次第に心開いてくれました。ありがとう北村さん。
そして
もっこすファイヤーの、たくさんとのりおさん。
今回もTKU「かたらんね」と合同企画でお伝えします。
現在、江津湖に生息する指定外来魚は6種類。
生息する個体数は減ってきている状況ではありますが、まだまだ在来種を脅かす数であることには違いありません。
「そもそも外来魚が江津湖にいることで、どのような弊害があるんでしょう?」
「元々いる生物ではないので、まずは単純に生態系が崩れます。外来魚は雑食のものも多く在来魚も食べてしまうんですよ。食物連鎖がおかしなことになるので江津湖の中の環境も変わってきてしまいます」
「それで外来魚の駆除を行っている、と。ちなみにどのような方法をとっているのでしょうか」
「電気ショックを与えて、一時的に気絶させます。そこでプカッと浮いてきた魚が在来魚ならばそのままリリースしますし、外来魚であれば駆除します」
定期的に、気の遠くなるような作業で駆除を行っていますが、それでもまだ0にはならないんだとか。
「なんで0にならないんですか?」
「まあ…繁殖力がすごいってのもあるんですが、江津湖って色んな川から入ってきているんですよ。その川にもいるんで江津湖「だけ」0にってのは現実的には難しいですよね」
熊本城のお堀しかり、外来種がいるのって江津湖だけじゃないんですよね。そしてその外来魚は自然とそこに居ついたものではなく、人の手で放流され繁殖したもの。それで環境が破壊されるなんて在来魚からすれば「ちょ待てよ!!」ってなもんでしょう。
雷魚キタ!!!
そんなおしゃべりをしていたら、早速作業が始まりました。
駆除の船にのっているのは熊本市造園建設業協会の皆さん。そして先導で指揮をとっているのは熊本博物館学芸員の清水さん。この清水さんがまあほんとすごい。プカッて浮かんできた魚を一瞬で「はいこれ在来魚!外来魚!」って見分けて捕獲していくんですよ。マジで憧れる。
見えにくいんですが、プカッと浮かんできたときに水面が揺れるのでそれで捕獲できているのかどうか確認できます。
「あ!!!!!!今、網で獲ったの雷魚!!!」
マジか。突然雷魚キタ!!
「北村さん約束覚えてます?雷魚もし釣れたら私にくれるって」
「覚えてますよ…」
無事今回1回目の駆除を終えて船が戻ってきました。
ちなみに桟橋付近でボッチで釣りをしているのは、のりをさんです。
過去のデータを見ても雷魚が捕れるのって1回の駆除で多くて2~3匹程度。湖底でジーっとしているので他の魚のようにプカッてなかなかあがってこないんです。
どれくらいの大きさなのかもってもらったんですが
もう全身ヌルヌル。のりをさん死にそうでした。
捌けないから餃子屋田中にもっていこう
ご機嫌にいただいた雷魚ですが問題はここからです。
ただ以前、北村さんはこう言っていました。
「雷魚の構造はティラピアなどの魚よりも、どちらかと言えばウナギに近しい感じです」と。
そこで肥後ジャーナルが過去に取材させていただいた「餃子屋田中」。ここの店長が以前鰻屋で働いていたことを思い出し、即連絡をし状況を伝えたところ
「やったことないですけど多分できるんで持ってきてください」
さすがです。
ということで
やってきました。餃子屋田中。
「え…想像よりも大きい」と悩ませてしまいましたが、考えていても仕方ない。だってここにもういるんだものってことで早速捌いてもらうことに。
普段ボーっとしているのにちょっと触っただけでプンスカと暴れ狂うので、本来ならば氷で活動をおとなしくさせて、という手順を踏みたかったのですが時間がないとせかした結果、まずは血抜きから行うことに。
ところが血をほぼ抜いても元気いっぱい。それならと内臓をとっても元気。頭をとってやっとおとなしくなりました。
「やべー!!めっちゃ面白い」と喜んでくれたので幸い。
そしてやっとここまで捌けました。
皮はいだら、なんかめちゃくちゃキレイ。
川魚特有のにおいは若干あるもののそんなに気にはならないレベル。しかしこれプロが相当苦労して捌いたので素人が簡単にできるもんじゃありません。食べる場合は自己責任で
「では食べてみましょうか」
「いやずっと存在がなかったことになってるけど、今回うちも絡んでいるから」
そうです。すっかりと目の前の雷魚に夢中になりすぎて忘れていましたが、今回もTKU「かたらんね」との合同企画。せっかくならば、もっこすファイヤーのたくさんと調理バトルをしたい、との申し出がありました。
「いや失礼て。そんなここまで新山さんに無理言ってるのに、そんな素人とバトルとか」
「自分はいつでも挑戦者でありたいので、受けます!」
まじか。
いよいよ実食
改めましてこんにちは。
審査委員のムトーです。ちなみに隣にいるのは熊本市環境共
2人は試食を超絶拒否ってましたが、課の仕事の幅が広がるから!と口八丁で無理やり巻き添えにさせました。
餃子屋田中の新山店長は、直前まで「本当、自信がなくなってきた…だって雷魚で調理したことないもん」と不安そうでしたが、いざ調理開始のゴングがなるとさすがプロ。
腹を決めてサクサクと調理を行います。
もっこすファイヤーのたくさんもガチ集中して調理開始。
途中、スパイスでその場にいた全員がむせるという事件もありつつも…
いよいよ完成です!
まずはもっこすファイヤーのたくさんの作品から見てみましょう。
タイトルは「嫌われ者の雷魚江津湖の人気者になりたい 第一志望遊戯」
シンプルイズベストなこの作品。雷魚そのものの味をしっかりと味わうべく、バターソテーとしました。
いざ実食
「うん」
「え?うまい。全然臭くない」
「なんだろう、どこかで食べた味..。あ。フグだ。雷魚ってフグの味と食感と同じ!」
なんということでしょう。あんだけ皆から「やめとけ」「くせえ」と言われ忌み嫌われていた雷魚、まさかの高級食材フグと似てます。これ何も言われずに出されたら「美味しい美味しい」ってパクパクいけるやつです。
「では次!挑戦者新山さん」
タイトルは「麻婆雷魚」
人気メニューである麻婆豆腐の肉の部分を雷魚で作った麻婆雷魚です。十分に水分を飛ばしたのがポイントなんだとか。
いざ実食!
げえっほおおおおおおおおお!!!!!
「どうしました?北村さん!顔が一瞬で真っ赤!」
「辛いのがそんなに得意じゃないので、びっくりしました」
「いやでもこれは後引く辛さですよ。なんだろう。もう一口、あ、もう一口ってどんどん欲しくなる」
「水分を飛ばしたことで雷魚そのものの、うまみだけがギュッと残った感じですね。豚のひき肉よりもさっぱりしているのに鶏のひき肉よりもジューシー。これはすごい」
そして審査員での審議のうえ…
2対1で今回の優勝者は餃子屋田中に決定!!
「勝因はなんだったのでしょうか」
「私は辛いのがそんなに得意じゃないので、実はたくさんに入れました」
「水分を飛ばしうまみを凝縮させたことで、より味わい深くなったといいましょうか。こんなに美味しいのなら江津湖で販売すればいいのにって思ったのはやはり新山さんの麻婆雷魚でした」
「私は…まあ…たくさんのは嫁でも作れるかなって…」
「ひどい!!!」
悲喜こもごもありましたが、最後はやはりプロの味にはかなわないってことで。いずれにしても非常に美味しく雷魚がいただけました。たんぱくな味なので和洋中どれでも合わせやすそうです。
まとめ
「食べたことないから食べてみたい」
そんな単なる好奇心で始めた企画ですが、様々な大人と触れ合う中で痛感したのは、やはり
人の都合によって勝手に放流されたものが外来種である。
ということ。
江津湖での釣りは基本NGなのですが、指定外来魚はOKです。
また繰り返しになりますが、今回は特別な許可を受けて捕獲、調理、実食を行っています。自分で釣って食べる場合は自己責任でお願いいたします。
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