「朝7時に藤崎宮前駅にいると、どこからともなく鐘の音が聞こえてくる」という読者からの問い合わせがあり、鐘の音正体を探りに音をたどり、浄土真宗本願寺派熊本別院に行ってみると「喚鐘(かんしょう)」と呼ばれる鐘を鳴らしていました。音の出どころと、鳴らしている理由を探ってきました。
読者からの問い合わせ「鐘のような音を調べてほしい」
こんにちは。いつも楽しく熊本のお話を読ませてもらってます。
取材というより、ちょっと気になることがあったので、調べてみてもらいたいのです。
わたしが熊本電鉄を使って出勤しているんですが、仕事で先日早めに出勤した時に7時くらいに藤崎宮駅につきました。そしたら、どこかから鐘?のようなものを叩いている音が聞こえました。お祭りかと思っていつもその時間に出勤している職場の人に聞いたら、その人も詳しく知らないけど、毎日7時にどこからか聞こえるらしいです。誰がなんのために鳴らしているのか気になるので調べてもらえませんか?ささいなことですが、なんだか気になってしまって。。。
ある日、肥後ジャーナル宛にこのようなお問い合わせを頂きました。読者のためなら調べます!!ということで、朝7時に近くまで行ってみると
カーーンカーーンカーンカーンカンカンカンカンカンカンカンカン…
…カンカンカンカンカンカンカンカンカンカーンカーンカーーンカーーーン
と鐘の音が聞こえてきました。ぴったり7時ジャスト。
近くで鐘を鳴らしてそうなところ…とたどり着いたのが「浄土真宗本願寺派熊本別院」でした。本願寺の熊本支社みたいなイメージのところです。
「魚雷」のすぐ近くです。うん、ここなら間違いなく藤崎宮前駅あたりまで聞こえますよね。さ、早速中に入って聞いてみましょう!
「探偵ナ◯トスクープみたいですね」って言われた
おはようございまーーーーーす!!っと中を進むと……
あった!!鐘!!!思ってたのより小さい!!!このサイズであんなに鳴り響くんですね。
突然お邪魔したのに、お話をしてくれた浄土真宗本願寺派熊本別院の中津海智州さんです。
事情を話したところ、
「なんか、探偵ナ◯トスクープみたいですね」って言われました。
間違いなくこの鐘が私の聞いた、そしてお問い合わせ主の読者の聞いた鐘であるそう。朝7時ぴったりに365日ずーっと鳴らし続けているそうです。
なんで??
この鐘、私がイメージしていたでっかい鐘「梵鐘(ぼんしょう)」とは異なる「喚鐘(かんしょう)」という鐘で、
「いまからお勤めが始まりますよ」と近隣の方に知らせて喚ぶためのもの。
実際に、熊本別院で毎日の朝のお勤め(お経あげたりするやつ)を始める前に鳴らすそうです。
鎌倉時代から続くしきたりのようなもので昔はお寺で鳴らしていたそうですが、戦時中の鉄回収の対象になったり、近所からのクレームでできなくなったりと、現在では鳴らしているお寺も少なくなってきているそうです。
あとは間近で鳴らしているところをみたいですね!!ということで
午前7時 喚鐘のなる頃に
午前6時55分。喚鐘を鳴らす時間の少し前にお邪魔しました。
若いお坊さんが喚鐘の担当です。
「友達に何の仕事してるの?って聞かれて毎朝7時に鐘を鳴らしてるって言っても理解してもらえなかったので記事にしてもらえて嬉しいです」と行ってました。
やけに正確に、1秒もずれずに鳴ると思ったら時計の前でその時を待っていました。
そして、午前7時、大きく…ではなく軽く振りかぶって…
カーーーーーーン
カーーーーーン
カーンカンカンカンカンカンカン…
おお!!この音です!!真顔で叩かれていますが、近くにいると鼓膜が震えまくる大音量です。
この時、お堂の中を覗くと…
朝のお勤めが始まろうとしていました。
謎の鐘の音はお寺の朝のお勤めの合図だった
ということで、藤崎宮前駅周辺で毎朝7時に鳴り響くのは、お寺の朝のお勤めが始まる合図。喚鐘と呼ばれる人を喚ぶための鐘でした。
鎌倉時代からの風習だけあって、どこか懐かしく情緒のある鐘の音でした。
ぜひ、早朝に藤崎宮前駅周辺に立ち寄ることがあったら耳を澄ませてみてくださいね。
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