肥後ジャーナルの聡明な読者のみなさん、小学生の時に通潤橋について習ったのを覚えていますか?
江戸時代、地理的に水に恵まれず、米もとれない、日照りが続けば水も飲めない、と困りきっていた白糸台地に住む人々を救うために、布田保之助が筆頭となって通潤橋を作って水を引き、白糸台地を潤して、住民は大変喜んだというお話。
私はこの話が印象に残っていて、通潤橋を見るたびに、「あぎゃんふとか橋ば作って、水ば通した布田保之助さんはすごかねー!たまがる!」と驚嘆していました。
でも、その大量の水は一体どこから運ばれてきているのでしょうか?
県民の誇り!観光名所の通潤橋
熊本地震の影響で現在も工事中の通潤橋は、豪快な放水が見事な、言わずと知れた熊本の観光名所。江戸時代に作られた日本最大級の石造りのアーチ橋で、白糸台地に水を渡すために作られた橋です。
その通潤橋に向かう途中の国道218号線沿いに、「円形分水」という看板を見つけたので、ちょっと気になって立ち寄ってみると、そこには見事な景観がありました。
見ているだけでも美しい!円形分水
国道から案内に従って車を走らせると、駐車場とトイレがあり、小さな観光スポットとなっていました。
このトイレのすぐ裏にある橋を渡り、歩いて150mのところに、目的の円形分水があるようです。
笹原川という川にかかる橋を渡ります。
橋から見る景色は、なんとまあ美しい景色!日本の原風景といった感じで、川底の石まで透けて見えます。川で泳ぐ子供たちもいました。
ここから水路沿いの道を、上流の方にテクテク上っていくと…
円形分水出現!!
まるで噴水のようで、迫力がある見事な分水装置です。内側の円筒の直径は6.3mで、毎分1.2㎥の水がわき出しているそうです。
ザーッと音を立てて水が溢れ出す様子を見ているだけでも癒されます。
人間の英知による用水システム
昭和31年に作られた円形分水の構造はこのようになっています。円筒の中心からわき出す水を、2枚のしきり壁で仕切ってあり、通潤橋に行く水と、野尻地区に行く水を、7:3の比率で分けているそうです。
このように、分水から2つの水路に分かれて水が送られていきます。
案内板によると、円形分水は自然に水がわき出ているわけではなく、笹原川の水をとって、その水がわき出すような装置が人工的に作られていると知り、なおさら感動!現代土木工学によるこの構造物、すごいとしか言いようがありません!
美しい噴水のような円形分水は、見て癒されて、学んで感動できる、ちょっと穴場の観光スポットでした。円形分水へ行く途中で、川に降りられる階段もあるので、涼を求めての散策にもおすすめです。
小笹円形分水
ライター紹介
ちえ
熊本の人、温泉、自然、グルメ(&お酒)をこよなく愛する30代。好奇心旺盛な行動派で、自称「アクティブガール」ですが、もうガールと呼べる年齢でもないという悲しさ・・・軽いフットワークと、あふれるバイタリティーで、人生謳歌中です。
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