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大矢野の理容室で80歳の高齢理容師さんに「おまかせ」で髪を切ってもらった

ライター:山田 山田

髪を切るときって、どこで切りますか?美容室?理容室?個人的には俄然、理容室派です。なぜならヒゲまで剃ってくれるから。今回は「熊本最高齢の理容師さんに”おまかせ”で切ってもらったらどうなるんだろう」とめっちゃ探してみました。


大矢野のバーバーショップ一海

こんにちは、肥後ジャーナルの山田です。私、原付で出勤しているんですが、クソ寒い朝、そのまま会社に入ったら不審者扱いされました。

ネックウォーマーとぼっさぼっさの髪の毛でもう目しか見えないんです。

本当は髪を切りたいんですけど、センスなさすぎて自分がどんな髪型にして良いのかわからないんです。

そこで「めちゃくちゃ高齢のベテラン理容師に切って貰えばいい感じにしてくれるのでは」と熊本県理容生活衛生共同組合に協力いただき熊本最高齢の理容師さんを探しました。

一応、92歳の県内最高齢理容師さんや80代後半の理容師さんもいたのですが、地元の方や常連さんだけを相手にされている方がほとんど。

そんな中で今回、協力してくれる理容師さんを発見しました!

上天草市大矢野町にある「バーバーショップ一海」。

髪を切るために熊本市内から大矢野までやってきちゃいましたよ。原付で。

今回、私の髪を切ってくれたのは、竹﨑一海さん。今年80歳。

年齢を感じさせない豪快さと、気さくに話しかけてくれる明るさ、そして優しさを兼ね備えたおじいちゃんです。

一海さん「俺より年寄りはまだいっぱいおったろが。床屋の業界じゃ俺はまだ青年ぞ(笑)

「80歳で青年って!床屋…理容師…?業界は高齢で活躍されているからも多いですよね」

一海さん「あー、床屋でよかぞ!正式には理容師って言うとやろが、俺は床屋に誇りを持っとるから。別に洒落た風に言う必要もなか!」

「わかりました!床屋さんで!早速私の髪を切ってもらいたいです!!」

一海さん「おう、そこに座れ!」

さっそく髪を切ってもらった

私、山田。こんな感じで頭はボッサボサ。正直、最後に切ったのいつ頃か覚えていないです。編集長のムトーからは「ゴールデンレトリバーみたい」と言われました。

一海さんの手によって、どんな風になるのか楽しみです。

一海さん「どんな髪型が良い?」

「すべておまかせで!!」

一海さん「短めが良か?長めが良か?」

「それもおまかせで!!一番かっこよくしてください!!」

一海さん「髪を切るときはな、その人の職業とか、なんの為に切るかを聞いて、イメージするんだよ。会社員なら会社員らしく、面接を受けに行くならそれに合わせた髪型を最初にイメージする。なんかなかとや」

「うーーーん、なら『恋人のお父さんに挨拶に行く』という憧れの設定でお願いします」

一海さん「設定ってなんや。よか、そんつもりで切ってやる」

一海さん「あんた、だいぶ床屋代ばケチっとったなぁ。どんくらい切っとらん?」

「正直、覚えてないです。本当、好き勝手しちゃってください」

一海さん「明るい印象になるように、できるだけ顔を出したほうが良いだろうな。うん、分かった」

一海さん「あんた、頭頂部が髪の毛少ないな。若いのに」

「自覚してます!これは遺伝なので仕方ないんです!!」

一海さん「ちょっと浮かせてボリュームば出そうかね」

髪を切ってもらいながら気付いたのですが、一海さん、かなり豪快な方なんですけど、手付きが力強くも優しい。おじいちゃんに頭を撫でられているような気持ちになって、安心感がものごい。そしてベテランだけあって、手際もめちゃくちゃ良いんです。

「80歳になっても続けられる仕事ってすごいですよね」

一海さん「だけん、俺はまだ青年って言うたろ(笑)。なんも病気ばせんかったら、あと10年は続けられると思っとるよ」

「そしたらもう90歳じゃないですか!すごい!」

一海さん「視力とか聴力は落ちよるけどな。髪ば触れば長さもわかるし問題は無かもんな」

床屋といえばこれ!

髪を切ったあとは、顔そり!個人的にはこれが嬉しいんですよ床屋さん。めっちゃ気持ちいいじゃないですか。

手先が不器用過ぎて、高校の頃にうっかり眉毛を全剃りして以降、自分では触らないと心に誓った私からすると最高のサービス。めっちゃ気持ちいい。

「こんな風に剃ってもらえるから、床屋さん好きなんですよね。美容室ではないサービスじゃないですか。これが理容と美容の大きな違いですよね」

一海さん「今はその認識が強かけど、昔はもっと違ったんだよ」

「理容と美容の違いってなんでしょう」

一海さん「原点はな、理容は『容姿を整えること』で清潔にすることやな。美容は『容姿を美しくすること』ってのがあるんだよ」

「あ、それ分かりやすい!私よく『もっと清潔感ある格好しろ』って言われるんでぴったりです」

続いてヒゲも。五枚刃のヒゲ剃りがすぐに使い物にならなくなる剛毛の私のヒゲもスルスル剃られていきます。

一海さん「あんた、髪は薄かとんヒゲは濃かなぁ」

「それも自覚してます。逆になれば嬉しいんですけどねぇ…」

一海さん「鼻ヒゲばきれいに1本描いてやろうか」

「…おまかせします」

「あの、すみません、すごくリーゼントっぽくなっていませんか」

一海さん「このまま固めたらリーゼント。ボリュームを出すために、一回浮かせてから下ろしてセットするから」

一海さん「おっし、こがん感じやろ」

ボサボサ頭からのビフォーアフター

ということで、もともとこんな感じだった山田の頭は一海さんに切ってもらい…

こんな感じになりました。だいぶスッキリ!!

一海さん「どうや!」

「正直、角刈りとかになると思っていました!だいぶ爽やかになりました!!」

一海さん「恋人のお父さんとこに挨拶行くって設定って言うたけんな、明るかごと顔がちゃんと出るごつした。眉の形も良かけんこんくらい出したが良かろ」

「そういえば、そういう設定でした」

一海さん「鼻ヒゲも1本に繋げて残してみたけど、あんまりわからんな」

「うわ!本当にされてる!!」

一海さん「眉染めで描いてやろうか?…それか昔、眉染めのない時代はマッチの芯を燃やしてヒゲば描きよったけん、そいでもよかな」

「遠慮します!」

切っている間も落ち着いた気持ちで老舗の腕は切るだけじゃない

ということで、80歳の床屋さん、「バーバーショップ一海」の竹﨑一海さんに髪の毛を切ってもらいました。綺麗にする美容室と比べ清潔にする理容室。伸ばしっぱなしで清潔感のかけらもなかった私も、清潔感ある頭にしてもらいました。

「ハサミを握られてから、どれくらい経つんですか?」

一海さん「16歳から床屋の学校に通って、1年後には仕事として初めたから59年だな。20歳で店を出して『やるなら絶対、地域の一番店』と思ってやってきたな。俺の人生も終盤だから地域に支えられてきた分、こっからは恩返しばしていかなんなぁ」

めっちゃいい笑顔でそんな風に話してくれました。80歳でもバリバリ現役「来やすい、入りやすい、敷居が低い店が一番ええよ。大人も子供もどんな風にしてほしいって気安く言いやすかごっな」と秘訣を語ります。

「バーバーショップ一海」は熊本天草幹線道路の工事で今後、立ち退く予定。それでも近くで床屋を続け、将来的には一緒にやっている息子さんが跡を継がれるそうです。

昔からある地域の床屋さん。たまには立ち寄って清潔になるのも気持ちいいですよ!その際はぜひ大矢野まで!!

バーバーショップ一海

住所

〒869-3602 熊本県上天草市大矢野町上826

営業時間

9:00~19:00

定休日

月曜日、第一日曜日、第三火曜日

電話番号 0964560558

ライター紹介

山田

山田

肥後ジャーナル編集部の大きい人。前職は地域経済誌記者やマーケティングのディレクター。将来の夢はヒモになること。 特技は誤字脱字。朝起きるのが苦手です。

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