球磨郡錦町の山の中に海軍航空基地跡が…!地下施設が見学できる「ひみつ基地ミュージアム」
球磨郡錦町に広がる、とてものどかな光景。近年そこに、人吉海軍航空基地の地下施設群があることが発見されました。戦後70年が経って発見された、広大なエリアに残された地下施設群。2018年の夏にオープンした「人吉海軍基地資料館」では、実際にその地下施設を見学しながら、歴史を学ぶことができます。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月1日から臨時休館中でしたが、6月1日より営業再開となりました。
資料や証言をもとにした展示
人吉海軍基地資料館は、球磨郡錦町の、とても平和でのどかな田園風景の中にあります。
こちらは、2018年8月にオープンしたばかりの新しい施設です。
資料館では、残された資料や証言による展示が行われており、基地の歴史を時系列で学べる構成になっています。
館内では、錦町の山の中から発見された戦闘機の破片や、基地の影響を受けた方々の証言VTRなども見ることができます。航空燃料が不足し、代替燃料として松の根からとった松根油が製造されていたことなども知り、じっくり見入ってしまう内容です。
今なお残る地下施設を見学
こちらの施設はフィールドミュージアムとなっていて、ぜひ見ていただきたいのが、屋外に残る地下施設です。
大人(高校生以上)500円、小・中学生300円の入館料を支払うと、資料館の見学のほか、今も残る地下魚雷調整場をガイド付きで見学することが可能となっています。
早速ガイドさんに案内され、実際に見学に行ってみることに…。
人吉海軍航空基地は、太平洋戦争末期に、出水や鹿屋、宮崎などの南方の基地との中継基地としてつくられ、活動期間はわずか1年9ヶ月と短いものでした。当時使われていた滑走路は今なお残っており、現在は生活道路として使われています。
奥の竹やぶの方に、200段弱の階段があり、そこをガイドさんについて下りていきます。階段が不安な方は、車も出してもらえるので安心です。
階段を下り、神社を通りすぎると現れたのが、こちらの魚雷調整場入口。
当時は、入口はカモフラージュされていたそうですが、まるで迷路のように奥まで通路が続いており、まさに「ひみつ基地」といった様相です。この中に入って、内部を見学することができます。
中の壁には縦の筋が入っていますが、これは当時、爆薬で穴をあけ、つるはしを使って、手彫りで掘られていた跡とのこと。実際に自分の目で見ることで、戦争が行われていた当時のことを、肌で感じることができます。
魚雷を調整していた場所は、万が一魚雷が誤って爆発しても、施設に影響を与えることがないように、コンクリートの壁で固く覆われています。
地下壕の内部では、航空魚雷として、飛行機から落とされていた九一式魚雷の実物大模型や、「赤とんぼ」と呼ばれていた飛行機が格納されていた場所なども見ることができ、当時の航空基地の状況をありありと感じられました。
こちらの魚雷調整場は、近年まで、地元の方々にも大きな防空壕かなにかだとしか思われておらず、2015年に、日本軍のリストや、郷土史の先生による現地調査で、海軍航空基地の地下施設であったことが判明したそうです。
戦争関係の施設というと、難しい話があったり、重い気持ちになったり、というイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらのガイドさんの話はとてもわかりやすく、たくさんのエピソードも交えて話してくださったので、大変興味深く、勉強になることの連続でした。
戦争について考えるきっかけに
戦後70年が経過し、ようやく明らかになった戦争遺跡。
当時作られた地下施設は広大なもので、地下魚雷調整場は、ほんの一部にすぎません。別途500円で、地下兵舎壕、地下作戦室・無線室の案内をしてもらうこともできます(前日までの要予約)。
今後、敷地内に建物も増設されるそうなので、私もまた、足を運んでみたいと思います。
これだけの施設を実際に目で見て、肌で体感できる人吉海軍航空基地跡は、本当に貴重な歴史遺産だと感じました。私も含め、戦争を知らない世代でも、凄惨な歴史を知り、学び、今ある平和や、ひとりひとりの命の尊さについて考え、次の代に伝えていくきっかけとして、ぜひ一人でも多くの方々に、一度は訪れていただきたい場所です。
※入館に際しては、入館時の検温及び健康チェックシートの記入、マスクの着用、タッチパネル操作時の手指の消毒が必要になりますので、あらかじめご了承ください。
※土日など、混雑が見込まれる際には、入館及び地下魚雷調整場の案内の人数が制限される場合があります。
山の中の海軍の町 にしき ひみつ基地ミュージアム【錦町立人吉海軍航空基地資料館】
開館時間 | 9:00~16:00(最終入館) |
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入館料 | 地下魚雷調整場ガイド付き 大人(高校生以上) 800円 小・中学生 500円 未就学児 無料 |
休館日 | 年末年始 |
駐車場 | あり |
ホームページ | https://132base.jp |
電話番号 | 0966-28-8080 |
ライター紹介
ちえ
熊本の人、温泉、自然、グルメ(&お酒)をこよなく愛する30代。好奇心旺盛な行動派で、自称「アクティブガール」ですが、もうガールと呼べる年齢でもないという悲しさ・・・軽いフットワークと、あふれるバイタリティーで、人生謳歌中です。
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