津奈木町のアート体験ツアーに参加したけど「これってツアーじゃないじゃん!修行じゃん!」ってなったツアー
公開日: 2023.02.25
ライター:伊藤今までいろんな市町村を取材に行きましたが、最もむちゃくちゃやらせてもらったかもしれないのが
津奈木町
「町名きいてもどこにあるかわからないです」
「宿泊施設がないって町としてどうなの?」
「町長とアート対決したい!」
「町長の家に泊めてください!」
「立入禁止の崖に登りたい」
などなど、失礼の限りを尽くしてきました。本当にすみません。
町長の家に泊まった記事はこちら
崖に登った記事はこちら
それなのに、津奈木町役場からありがたい電話が
「今度、アートの町津奈木町でアート体験ツアーをやるので参加しませんか?」
アート集団肥後ジャーナルが、そんなお願いを断るわけがありません!
やります!
ということで
何度もお伺いさせていただいた「つなぎ美術館」。こちらを中心にツアーが行われるらしいのだが…その内容を見て驚いた。
目次
ツアー内容が…
10時〜16時
「達仏彫り体験」
以上!
ツアーじゃない…。
しかも6時間彫り続ける、修行のような内容。不安しかない。
達仏とは
達仏は立っている生木に直接彫られているため、季節や太陽の光、木の成長によって見え方が変わるので何度訪れても面白いですよ。お気に入りの1体を見つけるもよし、33体を全てを探すもよしです。この作品は、世界を舞台に活躍する現代アーティスト西野達(Nishi Tatzu)さんの作品。津奈木町HPより
今回のツアーではこの達仏を実際に彫ってみようというもの。
芸術家でもない伊藤にできるのだろうか…。
彫るではなく「掘る」
すでに参加者分の準備ができていました。
このノミで彫って行きます。
各自に木槌とノミとクスノキが渡されました。クスノキは彫ると、いい香りを放ちます。(防虫剤のような匂い)
参加者全員で津奈木町のプロモーション映像を、役場の方の解説付きで見ます。ツアーっぽいのはここまで。
早速、達仏彫りの注意事項説明に入ります。
今回、いろいろとご指導いただくのは
彫刻家の森英顕先生です。
「ノミでガシガシ木を削っていきますが、とにかく怪我だけはしないようにお願いします。仏様はお配りした木の中に眠ってらっしゃいます。それを掘(彫)り起こすのが仏像作りです」
出た、どっかできいたことある名言。
まず自分がイメージする仏様を描き起こします。
でも…仏像って彫ったことないから、いざ書けと言われてもなぁ。
「そんなに考えないで!手を合わせていれば、なんとなく仏像に見えます!」
なんてザックリかつ的確な指導なんでしょう!!感動しました。
次に、木に直接マジックで大まかなデザインを描き込みます。お隣の女性はスマホで仏像を検索してます。
これではなんのこっちゃわからないかもしれませんが、まずは刃を入れて前に進めることが大事。人生と一緒。
設計図を描いたら、とりあえず前に1歩踏み出してみる!
踏み出したとて茨の道
ノコギリでいらないと思われる部分を大胆に切って行きます。
そのあとは、ノミで粗めに形作りを行います。
しかしながら、ほぼ初めて使うノミ。なかなか上手くは彫れません。
この時点で悟りました。
6時間かかるかも!
迷った時は先人の教えを素直に乞うのが一番です、正しい道に導いてくださいます。
始まって1時間で全員無言。「没頭」しています。ノミを叩くゴン!ゴン!という音だけが室内に轟きます。
ノミって一気に彫れるものではなく、コツコツ削っていく感じなんですね。知らずに力任せに叩き込んでしまったら
バキ!!!
削りたくない部分に至るまで割れてしましました。
きっと、私が思い描いた仏像と、この木に眠ってる仏像の形が違ったのでしょう。彫るのではなく掘り出す…心穏やかじゃないとできない所業。
ここで気づきました。
誰も他人の作品など気にしていない(正確に言うとそんな余裕がない)。
自分の仏像を彫るのに
没頭!
没頭!
圧倒的没頭!である。
これだ、日常に足りてなかったものは!どうしよう、めっちゃ楽しい
「ハーーイそれでは、皆さんお昼にしましょう」
と言われたのが彫り始めて2時間後だったのですが、体感時間30分程度でした。
金色に塗るとそれっぽいのよ
昼飯は持参したおにぎりを5分で食べて、すぐに会場に戻って彫る!彫る!
指を指してるところが。予想外に削れてしまったが、なんとなく作りたいものが見えてきました。
彫ること5時間。思っていた5割も彫れませんでした。最後にお顔彫り。これがまた難しい。
結局先生に手伝ってもらいました。
なかなかお顔に納得ができず、居残って彫る。なんなら、「皆さん帰ってもらっていいです、納得するまで彫りますから」という気持ちになってる。
しかし、団体行動ですので時間は守りましょう。
達仏といえば、美しい金色。彫った仏像を色付けします。
最後までやってるできない子感がすごい写真ですが、自分で作った仏像を時間なかったから色付けいい加減に…では嫌なんです!
出来上がった皆さんの作品がこちら
金色になると、なんとなくそれっぽく見えるのよね。これが。
頭を丸く削ってる人もいる、うまいなぁ。当たり前ですが、一つとして同じものはありません。
他人がどんなもの作ってるとかどうでもいいんです、自分の手で思い描いた仏像に近づけることだけが大事。木が割れたり、削りすぎったっていいんです、その失敗が新しい仏様を生むキッカケになるんです。
感想(抜粋)
・1泊にして、食や景色も楽しみたい
・3日間合宿仏像彫りでもいい、そのくらいハマった
・実際の達仏を見学してこれたらイメージ湧いたかも
などなど
そして全員が
「また彫りたい」
と言ってました。
アート集団肥後ジャーナルなんて嘯いた自分が恥ずかしいわ。でもなんだろう、達成感は正直ないけど、満足感が十分にあります。
図々しく本物と並べた
実際に達仏を見に行きました。
もう、愕然とするしかないのですが。林の中に立たせると、割と様に…なってないか。
なんか、だんだん申し訳なさが溢れてきたので、比較はやめます。
これはアート作品だから、誰かと比較したって意味がないことは彫る途中で実感してる。
いっちょまえに、人生語りたくなるほど充実した6時間を過ごしました、ありがとう津奈木町。
まとめ
アートって
「かっこいい作品作ったり、綺麗な絵を描いたり、人に評価されるものを作る」のではなく、自分の中にあるものを可視化させたものがアートになっちゃうんじゃないのかなぁって思いました。誰がどう思うかは後付けなんだと。
津奈木に行って、何も考えずに観光して、アートに没頭する。そんな時間で自分をリセット(リニューアル)してみてはいかがですか?
津奈木町は春に
2023つなぎ桜祭りウォークラリー大会
を開催するみたいですよー。
↓↓
津奈木町役場
ツアーの情報について |
UNAラボラトリーズ 092-982-7956 |
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ライター紹介
伊藤
演劇の先生やったり、アニソンやメタルのDJやったり、バンドやったり、サブカル好き思春期48歳独身。健康診断で中性脂肪が赤信号だったので、たまにジョギングすることにした。やっぱり犬が好き。
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