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津奈木町のアート体験ツアーに参加したけど「これってツアーじゃないじゃん!修行じゃん!」ってなったツアー

ライター:伊藤 伊藤
キーワード:

今までいろんな市町村を取材に行きましたが、最もむちゃくちゃやらせてもらったかもしれないのが

津奈木町

「町名きいてもどこにあるかわからないです」

「宿泊施設がないって町としてどうなの?」

「町長とアート対決したい!」

「町長の家に泊めてください!」

「立入禁止の崖に登りたい」

などなど、失礼の限りを尽くしてきました。本当にすみません。

町長の家に泊まった記事はこちら

崖に登った記事はこちら

それなのに、津奈木町役場からありがたい電話が

「今度、アートの町津奈木町でアート体験ツアーをやるので参加しませんか?」

アート集団肥後ジャーナルが、そんなお願いを断るわけがありません!

やります!

ということで

何度もお伺いさせていただいた「つなぎ美術館」。こちらを中心にツアーが行われるらしいのだが…その内容を見て驚いた。


ツアー内容が…

10時〜16時

「達仏彫り体験」

以上!

ツアーじゃない…。

しかも6時間彫り続ける、修行のような内容。不安しかない。

達仏とは

達仏は立っている生木に直接彫られているため、季節や太陽の光、木の成長によって見え方が変わる
ので何度訪れても面白いですよ。お気に入りの1体を見つけるもよし、33体を全てを探すもよしです。
この作品は、世界を舞台に活躍する現代アーティスト西野達(Nishi Tatzu)さんの作品。
津奈木町HPより
生きてる木に直接掘られている仏様。実際に見て欲しい、すぐそこには日常があるのに、林の中に入った途端の異世界感。きっとなにか、感じることができます。

今回のツアーではこの達仏を実際に彫ってみようというもの。

芸術家でもない伊藤にできるのだろうか…。

彫るではなく「掘る」

つなぎ美術館の集合場所に行くと

すでに参加者分の準備ができていました。

このノミで彫って行きます。

各自に木槌とノミとクスノキが渡されました。クスノキは彫ると、いい香りを放ちます。(防虫剤のような匂い)

参加者全員で津奈木町のプロモーション映像を、役場の方の解説付きで見ます。ツアーっぽいのはここまで。

早速、達仏彫りの注意事項説明に入ります。

今回、いろいろとご指導いただくのは

彫刻家の森英顕先生です。

「ノミでガシガシ木を削っていきますが、とにかく怪我だけはしないようにお願いします。仏様はお配りした木の中に眠ってらっしゃいます。それを掘(彫)り起こすのが仏像作りです」

出た、どっかできいたことある名言。

まず自分がイメージする仏様を描き起こします。

でも…仏像って彫ったことないから、いざ書けと言われてもなぁ。

「そんなに考えないで!手を合わせていれば、なんとなく仏像に見えます!」

なんてザックリかつ的確な指導なんでしょう!!感動しました。

次に、木に直接マジックで大まかなデザインを描き込みます。お隣の女性はスマホで仏像を検索してます。

これではなんのこっちゃわからないかもしれませんが、まずは刃を入れて前に進めることが大事。人生と一緒。

設計図を描いたら、とりあえず前に1歩踏み出してみる!

踏み出したとて茨の道

ノコギリでいらないと思われる部分を大胆に切って行きます。

そのあとは、ノミで粗めに形作りを行います。

しかしながら、ほぼ初めて使うノミ。なかなか上手くは彫れません。

この時点で悟りました。

6時間かかるかも!

迷った時は先人の教えを素直に乞うのが一番です、正しい道に導いてくださいます。

始まって1時間で全員無言。「没頭」しています。ノミを叩くゴン!ゴン!という音だけが室内に轟きます。

ノミって一気に彫れるものではなく、コツコツ削っていく感じなんですね。知らずに力任せに叩き込んでしまったら

バキ!!!

削りたくない部分に至るまで割れてしましました。

きっと、私が思い描いた仏像と、この木に眠ってる仏像の形が違ったのでしょう。彫るのではなく掘り出す…心穏やかじゃないとできない所業。

ここで気づきました。

誰も他人の作品など気にしていない(正確に言うとそんな余裕がない)。

自分の仏像を彫るのに

没頭!

没頭!

圧倒的没頭!である。

これだ、日常に足りてなかったものは!どうしよう、めっちゃ楽しい

「ハーーイそれでは、皆さんお昼にしましょう」

と言われたのが彫り始めて2時間後だったのですが、体感時間30分程度でした。

金色に塗るとそれっぽいのよ

昼飯は持参したおにぎりを5分で食べて、すぐに会場に戻って彫る!彫る!

指を指してるところが。予想外に削れてしまったが、なんとなく作りたいものが見えてきました。

彫ること5時間。思っていた5割も彫れませんでした。最後にお顔彫り。これがまた難しい。

結局先生に手伝ってもらいました。

なかなかお顔に納得ができず、居残って彫る。なんなら、「皆さん帰ってもらっていいです、納得するまで彫りますから」という気持ちになってる。

しかし、団体行動ですので時間は守りましょう。

達仏といえば、美しい金色。彫った仏像を色付けします。

最後までやってるできない子感がすごい写真ですが、自分で作った仏像を時間なかったから色付けいい加減に…では嫌なんです!

出来上がった皆さんの作品がこちら

金色になると、なんとなくそれっぽく見えるのよね。これが。

頭を丸く削ってる人もいる、うまいなぁ。当たり前ですが、一つとして同じものはありません。

他人がどんなもの作ってるとかどうでもいいんです、自分の手で思い描いた仏像に近づけることだけが大事。木が割れたり、削りすぎったっていいんです、その失敗が新しい仏様を生むキッカケになるんです。

感想(抜粋)

・1泊にして、食や景色も楽しみたい

・3日間合宿仏像彫りでもいい、そのくらいハマった

・実際の達仏を見学してこれたらイメージ湧いたかも

などなど

そして全員が

「また彫りたい」

と言ってました。

アート集団肥後ジャーナルなんて嘯いた自分が恥ずかしいわ。でもなんだろう、達成感は正直ないけど、満足感が十分にあります。

図々しく本物と並べた

実際に達仏を見に行きました。

もう、愕然とするしかないのですが。林の中に立たせると、割と様に…なってないか。

なんか、だんだん申し訳なさが溢れてきたので、比較はやめます。

これはアート作品だから、誰かと比較したって意味がないことは彫る途中で実感してる。

いっちょまえに、人生語りたくなるほど充実した6時間を過ごしました、ありがとう津奈木町。

まとめ

アートって

「かっこいい作品作ったり、綺麗な絵を描いたり、人に評価されるものを作る」のではなく、自分の中にあるものを可視化させたものがアートになっちゃうんじゃないのかなぁって思いました。誰がどう思うかは後付けなんだと。

津奈木に行って、何も考えずに観光して、アートに没頭する。そんな時間で自分をリセット(リニューアル)してみてはいかがですか?

津奈木町は春に

2023つなぎ桜祭りウォークラリー大会

を開催するみたいですよー。

↓↓

詳しくはこちら

津奈木町役場

ツアーの情報について

https://unalabs.jp/tourism/

UNAラボラトリーズ

092-982-7956

ライター紹介

伊藤

伊藤

演劇の先生やったり、アニソンやメタルのDJやったり、バンドやったり、サブカル好き思春期48歳独身。健康診断で中性脂肪が赤信号だったので、たまにジョギングすることにした。やっぱり犬が好き。

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