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天草唯一の映画館「天草第一映劇」 レトロという言葉だけじゃ表せない昔ながらの映画館の魅力

ライター:山田 山田
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天草市本渡にある「第一映劇」。天草唯一の映画館で、大手映画館では上映していないようなマニアックな映画を上映している映画館。熊本では唯一、九州でも2カ所しかないフィルム上映をしている映画館でもあります。昔ながらの雰囲気を残しながら、映画関係者から圧倒的な支持を受ける「第一映劇」に足を運んでみました。


天草本渡のレトロな映画館 第一映劇

天草市の中心地にある「本渡第一映劇」。1シアターの小さな映画館ですが、最近の映画だけではなく、映画好きはたまらない昔ながらの映画まで少しずつですか、幅広く上映されています。何よりデジタル上映には対応しておらず、ブルーレイか35mmフィルムの映画を上映しているのも特徴的。

入り口には上映中、もしくは上映予定の映画のポスターが並んでいます。なんだかタイムスリップしたような気持ち。

昔はあちらこちらにこんな感じの映画館があったような気がするんですけど、いつのまにか姿を消していましたよね。

受付も昔ながら。ポップコーンとかじゃなくて、普通に袋菓子が置いてあります。ポテチとコーラほしい。

今回、お話を伺ったのは「本渡第一映劇」の代表・柿久和範さん。もともと映画好きのサラリーマンだった柿久さん。当時1年以上休館中の張り紙がしてあった「第一映劇」の前を何度も通る中どうしても気になり「いつ再開されるんですか?」と当時のオーナーに尋ねたところ、「もう再開するつもりはない」という話を聞き、「貸してくれ!」とお願いし、最初は断れても諦めず頼み込み、3日間だけ上映会を開催したそう。その後も何度か上映会を繰り返し、常設の映画館として復活させたそうです。

小さな映画館ですけど、よければ見て回ってください。

こんな味のある映画館初めてです!ぜひいろいろ見たいと思います。

せっかくなので、映写室もご案内しますよ!

ぜひ!!見たいです!!

フィルム上映も現役!射影機とかかっこいい!

今ではほとんど見られませんけど、こんな感じでフィルムをセットして上映するんです。

なにそれめっちゃセッティング大変そう。

慣れてしまえばそうでもないのですが、私も最初は全く解らず教えてもらいながらでしたね。

映写機もめっちゃかっこいい。フィルムから映し出した映像を

この小窓からスクリーンに映し出します。大手配給会社はデジタル上映でしか新作を作らない傾向にあるそうですが、昔の映画などはフィルムが保管してあり貸し出してくれるそうです。

デジタルと違い、フィルムが経年劣化しノイズが入るフィルムもあるそうですが、それはそれで味があって良い。

こんな映画館が今でも残っているって、それだけで価値のあることだと思います。

お客さんは少ないですけどね。地元の常連さんか映画好きの方がたまに足を運んでくれるくらい。

他では上映していない映画も多いですよね。2019年の冬に「生理ちゃん」が上映された時、熊本ではここしかなかったのでめっちゃ観に来たかったんですよね。なかなかタイミング合わず結局来れずじまいでしたが。

あれ、全然人来なかったですね(笑)。面白かったんですけど。

本当に、そういう他では上映されない映画を観られるのは楽しみです。

観光地化してるけど映画も見てほしい

全国を見れば昔ながらの映画館は各地にありますが、やはり一時期に比べると激減しています。歴史を紐解くとテレビの普及が一番の原因だそうですが、最近は人口減少、若者の都市圏への流出が響いているそうです。

第一映劇は存在そのものに価値がある気がします。この映画館で観るからこそ意味のある映画もありますよね。

今上映している「のさりの島」なんかは、まさしくそうですね。うちで観るのが一番の特等席です。

天草市を舞台にした映画ですよね。第一映劇も舞台になっているとか。

ここでロケもありましたね。普段、あまり足を運ばない地元の方も観に来てくれたりとありがたい限りです。

めちゃくちゃヒットしてくれたら、聖地巡礼なんかもありそうです。

実際に今でも観光地みたいに足を運んでくれる人も多いんですよ。その分、写真だけ撮って帰る人も多いのでぜひこのシアターで映画を観ていってほしいのが本音ですが(笑)。

ここまで来て映画観ずに帰るなんてもったいない話…。

ポスターなどの資料を保管したギャラリーも

ギャラリーもあるので、せっかくなら見ていってください。

ギャラリー?

おーーーー!すごいいっぱいポスターある!!!!!

第一映劇で上映された映画のはほぼ全て保管してあります。

私、古い映画ってあまり知らないのでアレですが、年間200本映画見てる編集部のしゅんとかが見ると発狂しながら喜びそうです。

私は子供の頃から映画が好きで、映画から人との付き合い方や人生、辛いときの乗り越え方や喜怒哀楽、様々なことを教えてもらいました。それと同じことをして返していきたいと思ってるんです。だから、子どもたちにも映画を見せたい。今では子供向けはアンパンマンくらいしか上映できませんけど、それでも初めて映画を観た子供って、喜んでくれるんですよね。

私、初めての映画は地元(長崎)のパルファンって映画館で見たポケモンのミュウツーの逆襲でした。子供ながらに感動したのは覚えています。

パルファン!私も行ったことありますよ!当時高校生で、空手バカ一代が観たくて行ったのに成人向け映画と二本立てで観せてもらえなかったんですよね(笑)。

ひどい話!

昔はそれも結構当たり前のようにあったんですよ。

今後の「本渡第一映劇」

今後はこの「本渡第一映劇」をどのように残していきたいと思っていますか?

現状維持。もちろん、残していきたいとは思っています。だって、私が辞めたらここは二度と復活しないと思いますから。できることをできるだけやりたいと思います。

ぜひ、天草の誇る歴史ある場所として残してほしいです。

でも、8年後くらいに無くなる可能性も高いんですよね

えっ???

この建物って所有者が別にいて、借りている状態なんですけど2年ほど前に、老朽化していてるから解体するって話があったんですよ。その時に一度立ち退きの申し出があったんです。周囲の働きかけもあって、10年更新できたのですが、次は難しいんじゃないかなと思っています。

私、めっちゃ稼いでこのビル買います。

常連さんでも、同じこと言って宝くじ買ってくれてる人もいるんですよ(笑)。それでも、どんな終わり方をしようかなってなんとなくですけど考えています。人生の半分、映画をやっているのでできることをできる範囲でやっていきたいですね。

古き良き映画館で映画を

天草どころか熊本の誇る古き良き映画館「本渡第一映劇」。映画館と聞いてふと思い出すのは、こういう場所だと思います。

今後、どうなっていくのかは分かりませんが、この雰囲気で観る映画はまた一味違いますよ。

特に6月末まで上映する「のさりの島」は天草が舞台。私ももう一度足を運んで、この特等席で観たいと思います。

映画が好きな方も、そうでない方も、足を運ぶときっと何かしらの出会いがあると思いますよ。

本渡第一映劇

住所

熊本県天草市栄町5-23

営業時間

上映時間による

定休日

木曜日

ホームページ

https://daiichieigeki.iinaa.net/

電話番号 0969231417

ライター紹介

山田

山田

肥後ジャーナル編集部の大きい人。前職は地域経済誌記者やマーケティングのディレクター。将来の夢はヒモになること。 特技は誤字脱字。朝起きるのが苦手です。

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