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青井阿蘇神社から見る人吉 宮司さんに復興の話を聞いてきた

ライター:山田 山田
キーワード:

人吉市の中心にある「青井阿蘇神社」。創建1200年以上の歴史があり、国宝にも指定されている神社ですが、球磨川近く故、7月の豪雨で大きな被害を受けました。復興に向けて進む青井阿蘇神社の宮司福川さんに現状と復興に向けた話を聞いてきました。


人吉市の中核・青井阿蘇神社

やってきました、青井阿蘇神社。

境内に入るより前から、まず目に入るのは参道にかかる「みそぎばし」。水没していまい、現在、復旧作業が続いています。

また、敷地内も各所で復旧作業が進んでいました。

そんなお忙しいなか、お時間をいただき今回お話をしてくださったのは、

宮司の福川さんです。

山田

はじめまして、肥後ジャーナルの山田です。大変な中、お時間いただきありがとうございます。7月の豪雨以降、人吉に立ち寄っておらず、現状を伺いにきました。

福川宮司

被害状況としては、本殿や拝殿は床下浸水でしたが、社務所は解体。77振りの宝刀や、歴史的な書物なども水没するなどの被害を受けました。

山田

ぱっと見、思って以上に綺麗になっているので、そこまでの被害があったとは思いませんでした…

福川宮司

境内は少し高い場所にあるんですけど、この辺りまで水がきていたんですよ。

山田

映像では見ていましたが、実際にこうして見るととんでもない高さですね…。

福川宮司

最初は、どうしたものかと思いましたよ。でもね、翌日7月5日、小雨の降る中で中学生~大学生くらいの若い子たちが5,60人くらい集まってシャベルなんか持ってね、ただ黙って泥かきをしてくれたんですよ。「学校か部活から言われたのか」と聞くと「違う」と「親から言われたのか」と聞くとそれも「違う」と。

山田

なぜなんでしょう。

福川宮司

SNSで「青井阿蘇神社を助けよう」と誰かが話して、それに賛同して集まってくれたそうなんですよ。

山田

今の時代ならではですね。

福川宮司

こんな子たちがいるなら、人吉は大丈夫だと可能性を感じましたよ。いたく感動しました。これまで息子がスマホを触っていると小言を言ってましたが、もう言えなくなってしまいましたねぇ。

「7月3日に戻っても意味はない」

山田

今後の復興について、どうお考えですか?

福川宮司

豪雨の前日、7月3日に戻ることに意味はないと考えています。言い方は悪いかもしれませんが、人口減少が進み、ゆるやかに衰退していたのは事実です。ただそこに戻るだけでは、それは復興とは言えないんです。

山田

もとに戻したところで、ゆるやかに衰退していた状態に戻るだけ、ということですか?

福川宮司

そうですね。人吉は豪雨以前より観光が主体の街でしたが、すぐに復興というのは難しいですし、プラスアルファしていかなければ、どう転ぶかわかりません。

山田

では、どのような形の復興が必要なのでしょうか?

福川宮司

豪雨災害をバネにして、どのように復興していくのか考えて取り組まなければなりません。ただ座して観光客を待つだけではなく、しっかり呼び込める手段を増やしていく必要があります。

山田

具体的に青井阿蘇神社で考えていることはありますか?

福川宮司

以前より、社務所とギャラリーを併設した建物を建造する予定でした。豪雨以降、ストップしていましたが、やはりこちらも進めていこうと思います。他の修復等も行いますから、2022年に向けて伝統や文化を発信する展示物を用意します。歴史や文化、伝統がなぜ今まで残ってきたかというと価値があるからなんです。それを今後に繋げて行くために、プラスアルファで仕掛けが必要なんです。

山田

神社の敷地にギャラリーがあるってのも面白いですね!完成したらぜひ取材に伺います!

福川宮司

刀剣修復のために臨んだクラウドファンディングでは、目標額500万円に対して、3500万円の支援がありました。それも支援者は3200人、少しずつ大勢の方が支援をシてくださったことに驚きました。これまで刀剣は公開していませんでしたが、これからはひと目に触れる場所に置きたいと、新設するギャラリーへの担持も検討しています。

地域の中核 神社の役割

山田

この様な大変な中だからこそ、地域のなかで神社の持つ役割も大きいと思います。

福川宮司

豪雨災害を経て、宮司として生きる道が確立できたように思います。地域の中核として、復興に取り組んでいく思いです。

山田

豪雨がきっかけに?

福川宮司

悲しみや危機感の中で、人々の思いを強く感じました。多大な支援もいただき、1日も早く復興した姿をみていただきたいと思います。ただ宮司をやっているだけでなく、地域のために自分自身の立ち位置を見つめ直しました。

山田

宮司としての使命はどのようなものを持たれていますか?

福川宮司

青井阿蘇神社が日本遺産に選ばれた際、「相良700年が生んだ保守と進取」というテーマを掲げたのですが、これを実践していく次第です。保守は伝統や文化を守ること。進取は新しい風を取り入れていくことです。これまで残ってきた歴史や伝統がなぜ残ってきたか。それは価値があるからです。これは次の世代に残していかなければなりません。新しい風を取り入れて古くから伝わってきたものを残すこと。新設するギャラリーもその役割を果たします。そうすることで、地域を活性化し復興に尽力していきます。

復興はまだまだ長い道のりですが、青井阿蘇神社は積極的な一歩を踏み出していました。

しかし、地域の活気は少しずつ戻りつつあり、前向きに頑張っています。

ぜひ一度、人吉を訪れて、みなさん自身の目で復興の過程をごらんください。

ライター紹介

山田

山田

肥後ジャーナル編集部の大きい人。前職は地域経済誌記者やマーケティングのディレクター。将来の夢はヒモになること。 特技は誤字脱字。朝起きるのが苦手です。

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