「来年の事を言えば鬼が笑う」ということわざをご存知ですか?
「未来のことなんて分からないんだから、話したってしょうがない」という意味で使われる有名なことわざで、一説によるとこのことわざは「鬼が笑った話」という熊本の昔ばなしが由来になったそうなんです。舞台は益城町にある福田寺(ふくでんじ)というお寺。跡地が残っていると聞いて早速探してみました!
「鬼が笑った話」
まずは、正確な物語と場所を知るために、昔ばなしを読んでみましょう!
今回、参考にしたのは「読みがたり 熊本のむかし話」。
話の内容を要約すると、
むかし、益城町の山の中にあった福田寺というお寺に弟子入りにきた鬼がいました。
新しいお堂を建てるとき、鬼は人一倍頑張ってくれましたが、みんなに振る舞われただご汁をもの凄い勢いでたくさん食べてしまいます。
おかわりしたくてもできない、他のお坊さんたちが知恵を絞り、切った竹をだご汁に浮かべました。竹を除けながらだとゆっくり食べるだろうと考えたのです。しかし、鬼は竹ごとばりばりとだご汁を食べてしまいました。
鬼は硬い竹を噛んでしまったので、歯が折れてしまい、「大好きなだご汁が食べれなくなる」と泣き出しました。
おしょうさんが、「来年になったらまた歯が生えてくるよ」というと鬼は喜んで笑いました。
「来年のことを言うと、鬼が笑う」ということばは、このときからはじまったともいう。
この本によると、本当に益城町にあった福田寺というお寺が舞台になっています。
しっかり、ことわざの語源になったという説にも触れてありました。
ちょっと調べてみると、この福田寺(ふくでんじ)はすでになくなっているそうですが、跡地が史跡として残っているそうです。
ということで。
益城町で福田寺跡を探してみた
やってきました、益城町。多分、この山のどこか中腹あたりにあるはずです。
ちなみにGoogleマップには載っていませんでした。町の人に聞き込みをしても正確な場所は分からず彷徨うばかり…。
こういう時は、確実に知ってそうなところに聞くのが1番!ということで、益城町情報交流センター「ミナテラス」で、町の生涯学習課の方に聞いてみました。
地図を見せてもらったのですが、たどり着ける気がしません。
Googleマップと照らし合わせてみましたが、途中で道が消滅していました。
ですが、Googleマップで道が存在してるところまでいけば、あとは一本道だということなので、気合いで行ってみることにしました。
完全に秘境!福田寺跡までの道のり
益城町中心部から、益城矢部線を進みます。
「ヤングタ」というお店が見えたら、左折です。
そこから、ひたすら道なりに進み、分かれ道を右下に下ります。
その先の橋を渡って…
三叉路を右折して…
このあたりで、Googleマップの道が消えます。
ひたすら道なき道を行きます。道ありましたけど。木が生い茂っていたり、道幅が狭かったので、車だと車種によっては難しいかもしれません。
山の中を黙々と進み、不安になりながら、進んでいると左側に「愛山荘」という謎の建物があります。これが見えたらもう少しです。
やがて、看板と小さな石塔が見えてきます。ここが「尾峰山福田寺跡」です。
残念ながら、看板には「鬼が笑った話」についての記述はありませんが、舞台となった場所に間違いないようです。
以前は、もっとたくさんの石塔があったそうですが、今は殆どが持ち出されているそう。
特に立派な五輪塔は、先程のミナテラス前に移設されているそうです。
近くを散策すると、石碑のようなものもあり、かつて寺院があったことが伺えます。
周囲は立派な竹林に囲まれていたので、これを切って鬼に食べさせたのかもしれませんね。
来年のことを言うと鬼が笑う
ということで、昔ばなしの舞台になった益城町の福田寺跡を訪問してきました。
「来年のことを言うと鬼が笑う」といえば、どうなるか分からない未来の話をすると笑われるという意味で伝わっていますが、昔ばなしでは鬼は嬉しくて笑っていました。言葉が広まるうちに意味合いが変わっていったのかもしれませんね。
また益城町生涯学習課の学芸員さんによると、私が読んだ「熊本の昔ばなし」以外にも「益城町の昔ばなし」という本の中にも「鬼が笑った話」があるそうで、そちらは悪さをした鬼の歯が折れて…という話なんだとか。
意外と知らない、地元の昔ばなし。たまに読んでみると面白いですよ!
尾峰山福田寺跡
住所 | 熊本県上益城郡益城町福原 |
---|
※ナビで行くと迷います
記事シェア