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【くまもとの巨木】阿蘇、中岳のふもと。森にたたずむ「護王さんの杉」

ライター:羽田さえ 羽田さえ
キーワード:

熊本県内各地に存在する、巨木の数々。
深い森の奥深くに、ちょっとした木立の中に、そして時にはぽつんと一本だけ立っている、さまざまな巨木を訪ねます。

阿蘇には、以前ご紹介した「高森殿の杉」のような、かっこいい杉の木がまだ他にもあると聞きました。
「護王(ごおう)さんの杉」という杉の巨木。見に行ってきました。


護王さんの杉への行き方


わかりやすい案内表示などは残念ながらありません。Google マップで「護王さんの杉入口」というスポット名で探してください。
熊本市内から向かったので、ミルクロードから57号線へ。道の駅阿蘇からヤマダ電機を越え、右折。牛を飼っている牧場や田畑の間を、中岳に向かって進みます。


アプローチはやや細めの道なので、ところどころにある離合ポイントをチェックしつつ進むと安心です。


「護王さんの杉入口」は小さな案内表示がひとつ設置されているだけです。見落とさないように!

駐車場はありません。木へと続く未舗装の道に、1台程度なら停められます。近隣の迷惑になるので、路上駐車は避けましょう。

杉の巨木とご対面!


入口から奥をのぞくと、すでに圧倒的な存在感。護王さんの杉です。


シュッとまっすぐに伸びる杉とは全く違います。阿蘇エリアで言えば、まさに「高森殿の杉」の系統ですね。

木漏れ日がさす森の中で、意外なほど色彩豊かな空間が広がっています。


樹齢は約1000年。高森殿の杉は樹齢400年と言われているので、さらに古いということですね。
高さ約23メートル、幹まわりは約6.8メートルあります。阿蘇市の天然記念物に指定されています。


裏側から見ると、さらに独特の形状。落雷で一部が折れたこともあると言います。幹の真ん中が縦に裂けているのも雷によるものでしょうか。
落雷や台風の被害を受けているのは、古い巨木あるあるですね。


四方に、そして天に向かって伸びる枝ぶりには、強い生命力を感じます。

足元には小さな仏像も


木の根元には、火伏地蔵と呼ばれる小さなお地蔵さまがまつられています。阿蘇では古くから信仰されてきたと言われる火伏地蔵。
山林の火災を防ぐために、ここにもまつられていたのでしょうか。この杉がご神木だったのかな?という想像も湧いてきます。

その後ろには不動明王さま?と思ったら護王権現さまというお方だそうです。お賽銭もそなえられていました。今なお、信仰が生きているんですね。


しめ縄でしょうか、幹には縄が巻かれています。神聖な空気の中で、辺りはとても静か。さまざまな鳥のさえずりが聞こえます。

ところで、護王さんって誰?


そもそもここへ来るまでに気になっていたのが「護王さん」が誰なのか問題。
以前ご紹介した熊本市北区の「寂心さんの樟」は、鹿子木親員入道寂心さんに由来する名前でした。
今回は「護王さん」ですが、特に説明書きなどはありません。天然記念物の記念碑が立てられているだけでした。

京都に護王神社という神社があり(京都御所の西にあって猪の像がめちゃくちゃあって可愛い神社ですね)、御祭神は和気清麻呂(わけのきよまろ)公。
護王さん=和気清麻呂公?と連想しましたが、詳細は不明です。

南阿蘇村にも「護王神社」というお社があるようなので、何らかの関係があるのかもしれません。ご存知のかたがいらっしゃいましたらお知らせくださいませ。

まとめ


阿蘇の森の中にひっそりと立つ「護王さんの杉」。強い生命力を感じる、神聖な雰囲気の杉の木です。


かたわらに神仏がまつられていましたが、この木が神様そのものかもしれない。そんなことを感じる巨木でした。
落雷などの被害を受けていても、まだまだ生き続けて欲しいと思います。

*ご紹介する巨木は各自治体で天然記念物や文化財に指定されているもののほか、地元の人たちに長く大切にされてきた木ばかりです。
無理に登る、枝を折るなどの行為で木をいためることのないよう、お願いいたします。

護王さんの杉

所在地

熊本県阿蘇市西町

ライター紹介

羽田さえ

羽田さえ

県外出身、1970年代生まれのライター。専門分野は旅行関係。巨木、仏像、おいしいもの、レトロなもの、じわじわくるB級系などが好きです。うっかり熊本市から北海道に引っ越しましたが引き続きよろしくお願いいたします。

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