熊本県内各地に存在する、巨木の数々。
深い森の奥深くに、ちょっとした木立の中に、そして時にはぽつんと一本だけ立っている、さまざまな巨木を訪ねます。
県内各地に訪ねたい巨木はまだまだたくさんあるのですが、今は不要不急の外出を控える時。
遠出はしない時期なので、今日は通勤途中にある巨木を撮影してきました。
花畑町電停すぐの巨木
ご紹介するのは花畑公園(花畑屋敷跡)にあるクスノキの巨木です。
熊本市電「花畑町」電停とサクラマチクマモトの間にあたります。
中央のクスノキが熊本市指定の天然記念物。幹の周囲は約7メートル、高さは30メートルほどあります。
大楠の周囲にもいくつか大きな木があり、ちょっとした木立になっています。
新緑の季節でもあり、若葉が目にあざやかです。空の青さによく映えてきれいです。
花畑公園は昭和4年に整備されたもので、もともとは「花畑屋敷」があった場所です。この大楠は、一体いつごろからあったものなのでしょうか。
そもそも花畑屋敷って?
(2019年特別公開時の天守です)
花畑屋敷は肥後藩(熊本藩)の藩主がふだん暮らしていた場所で、加藤清正の時代である1610年ごろに整備されたと言われています。
細川家の時代になっても、藩主の館として使われ続けました。いわゆる大名屋敷です。
(2019年特別公開時の本丸御殿です)
何となく藩主は本丸御殿に住んでいたのかと思っていましたが、細川家は花畑屋敷がメインの住まいだったようです。
全部で5ヘクタールもの広大な敷地があったとされています。5ヘクタールって全然ピンと来なくて調べたところ、東京ドームが広さ約4.7ヘクタール。
普段住んでいる家の敷地が、東京ドームより広かったんですね。肥後藩主、すごいです。
世継神社のご神木
大楠は花畑屋敷よりも前、世継神社がここに鎮座していた時代から立っていると言われています。
幹にしめ縄が巻かれているのは、神社の境内にあったころからの名残なのでしょう。
推定樹齢は600〜700年。早ければ鎌倉時代末期、遅くとも室町時代頃からずっと、ここにある計算になります。
昭和40年代には一度弱って枯れかかるという大ピンチがあったものの、多くの人の尽力により何とか復活したのだとか。
今の見事な枝ぶりからは、枯れかけた姿はなかなか想像できませんが、そんな時代もあったのですね。
600年以上もこの地にあり、西南戦争や第二次世界大戦、熊本地震やその他さまざまな災害も経験してきたであろう大楠。
新型コロナ禍の真っ只中にある今、疫病退散を祈りたくなる木です。
まとめ
花畑公園(花畑屋敷跡)の大楠。
令和2年4月末現在は、木々の周りに外構工事が施されています。
みんなの憩いの場として、さらにパワーアップしてくれる日を楽しみに。一帯がきれいに整備されたころ、コロナがおさまったころに、公園でゆったりくつろげたらと思います。
*ご紹介する巨木は各自治体で天然記念物や文化財に指定されているもののほか、地元の人たちに長く大切にされてきた木ばかりです。
無理に登る、枝を折るなどの行為で木をいためることのないよう、お願いいたします。
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