【くまもとの巨木】森林総合研究所・九州支所のメタセコイア
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熊本県内各地に存在する、巨木の数々。
深い森の奥深くに、ちょっとした木立の中に、そして時にはぽつんと一本だけ立っている、さまざまな巨木を訪ねます。
今回は立田山のふもと「森林総合研究所」の敷地内にあるメタセコイア並木です。
去年の秋から気になっていた巨木へ、突撃取材してきました。
メタセコイア並木の行き方
県道337号線(旧57号線)からのアクセスです。目印は立田山入口の丁字路。
山に向かって曲がり、熊本大学の敷地に沿って坂道を上りましょう。
突き当たりの手前で、右手に「森林総合研究所」の看板が見えてきます。
入口から100メートルほどまっすぐに伸びる道の両側に、メタセコイアの並木が続いています。
メタセコイアってどんな木?
いつもは樫や楠など、和の雰囲気漂う巨木をご紹介していますが、今回はメタセコイア。
そもそも「メタセコイア」という名前にも、あまりなじみがありません。
カリフォルニア辺りに生えている世界一大きな木っていうやつでしょう?と思ってググったら、それは「セコイア」(ジャイアントセコイアとも)でした。
常緑樹のセコイアと落葉樹のメタセコイアは、名前は似ていても別の種類の木なのだそうです。
メタセコイアは、分類上はヒノキ科のメタセコイア属、和名はアケボノスギ。
セコイアなのかヒノキなのかスギなのか、ややこしい木です。
並木について「森林総合研究所」に聞いてみた
このメタセコイア並木は、「森林総合研究所・九州支所」の敷地内にあります。
森林総合研究所・九州支所は林野庁所管の国立研究開発法人である「国立研究開発法人森林研究・整備機構」の一拠点なのだそう。
何やら難しそうですが、木のプロフェッショナル感がすごいです。
メタセコイアがあまりに素敵なので、肥後ジャーナルでご紹介したいです!!とお願いして、掲載許可をいただきました。
メタセコイアは日本を始め北半球のあちこちで化石が発見されるのみで、絶滅したと長らく考えられてきました。
中国の四川省で生きた木が発見されたのち、日本に入ってきたのは1949年のこと。
この並木も、それ以降に植えられたと考えられます。
記録によると、このメタセコイアは1957年3月1日の植樹祭で植えられたものなのだとか。
当時の立田山は現在の緑豊かな姿とは異なり、戦争中や戦後の物資調達で多くの木が伐採されたハゲ山だったのだそう。細川氏の藩政時代に守られてきた森林は、すっかり失われていました。
メタセコイア以外にも、立田山実験林にクスノキやアヤスギなど多くの木を植えたと記録されています。
美しい森が広がる立田山に、戦争の影響と植樹の経緯があったなんて、巨木ライターとか名乗っていながら全く知りませんでした。巨木のかげに歴史ありです。
なお、森林総合研究所の敷地内には「森の展示館」という無料のミュージアムがあり、毎週水曜日〜日曜日の9:30〜16:30の開館です。
あわせてたずねてみるのも良いですね。
メタセコイアは紅葉する木!色づき具合は?
メタセコイアは一般的に高さ25メートルから30メートルほど、幹の周囲1.5メートルほどに成長する木です。
常緑樹ではないため、秋の終わりには細長い葉っぱが赤く色づきます。
11/17現在では、少し紅葉が進んで黄味がかった葉の色が確認できました。
こちらは昨年2018年の12月初めに撮ったもの。美しい赤褐色になっています。
11月半ばになって急に冷え込んできたこともあり、一気に紅葉が進む可能性もありそうですね。
まとめ
森林総合研究所・九州支所のメタセコイア並木。
滋賀県のマキノ町のものが有名ですが、そちらはインスタ映えを求めて大渋滞が起きる観光名所。
熊本のメタセコイアは、立田山の森のふちにたたずむ、風情たっぷりの静かな並木道です。
いつまでもこの美しい並木が維持され、熊本の人々に愛され続ける巨木であってほしいなと思います。
*ご紹介する巨木は各自治体で天然記念物や文化財に指定されているもののほか、地元の人たちに長く大切にされてきた木ばかりです。
無理に登る、枝を折るなどの行為で木をいためることのないよう、お願いいたします。
森林総合研究所・九州支所のメタセコイア並木
所在地 | 熊本市中央区黒髪4丁目11−16 |
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