新年、三が日がすぎ、いかがお過ごしでしょうか?美味しい料理やお酒に舌鼓は打てましたか?そんな時期に胃を休めるために1月7日に食べられる風習がある「七草粥」。春の七草と呼ばれる7種類の野草を使ったお粥です。今回は、熊本に自生している春の七草をかき集め、七草粥を作ってみました。
結論から先に言います
こんにちは、肥後ジャーナルの山田です。
季節のものは食べたいけど、スーパーで売ってある七草パックってちょっと割高な気がして、今回、「自生している春の七草を自力で探す」という無茶振…もとい、取材を行ったのですが、
全然、見つかりませんでした。というか、雑草と七草の見分けがつかない!!!
しかも、「ほとけのざ」「なずな」「はこべら」「ごぎょう」「せり」「すずしろ」「すずな」の7種類ですが、すずしろとすずなは大根とカブ。自生してるわけないですよね。
河原で延々と落とし物を探すおじさんのように地べたを這いずり回って、何も見つけることができませんでした。
学芸員さんに助けてもらった
ということで、水前寺江津湖公園にやってきました。
公園での野草の採取はNGですが、熊本市博物館の植物の学芸員さんに相談したところ「その辺りにも生えているが、江津湖ならすずしろとすずな以外の5種類は見つかる可能性がある」とのことでした。まずは、実物を見つけてそれを参考に他の所で探したいと思います。
でも、いくら自生していても、探せる自信がないので…
学芸員さんも呼び出して手伝ってもらいました。だって、一人じゃ見つからなかったんだもん。
事前に「もともとは、旧暦のお正月に食べられていたものなので、この時期に探すのすごく大変ですよ。花も咲いていないので分からないと思います」と指摘。もちろん、大根とカブも農家さんが育てているものくらいしかないと。
しかも、
公園、綺麗に草刈りされた後でした。難易度急上昇。どーすんのこれ。
とりあえず探し回る
「毎年、1月の下旬に江津湖で七草を探しているので、昨年生えていた場所を探してみましょう!」という学芸員さんの心強い言葉に従い、一緒に探します。
まぁ、私、見ても分からないんですけどね。
探し始めて数分、「ここ見てください!」と呼ばれて行ってみると…
花が咲いていないので分かりにくいですが、これが「ほとけのざ」らしいのですが、よく見る草で毎年パックで売られている七草には入っていない気が…。
実は、図鑑なんかに乗っている「ほとけのざ」と春の七草の「ほとけのざ」は別物。なので、これは七草じゃないそう。
ちなみに春の七草の方の「ほとけのざ」は「コオニタビラコ」というそうです。オニタビラコとかヤブタビラコなんかもあって、花が咲いていないと見分けるのは難しいそう。
引き続き、七草を探します。
探している道中で聞いたのですが、基本的に市販されている七草はそのために栽培されたものだそうです。自生しているものの食べられる食べられないは体質にもよるそうなので自己責任で。
個人的にも、自生しているものは諸事情によりあまり食べるのはおすすめしません。
学芸員はさすがで、またすぐに見つけてくれました。本当に他力本願。
今度は「はこべら」だそうです。
続いて、見つけてくださったのは「なずな」です。俗に言うペンペン草。
ですが、見慣れたハート型の部分ではなく、七草として食べられているのは新芽。いや、ふりふりついてないとなずなだってわかんねーです。
その後も、役立たずの私を見捨てずにひたすら探してくださいます。
私は隣で「へぇー!」「すごーい!」とか言ってるだけでした。
その後もふわっとした葉が特徴の「ごぎょう」や、
青々と生い茂った「せり」など次々に発見。ちなみにかなり珍しいらしいですが、ドクゼリという死に至るほどの毒をもったセリも熊本に自生しているそう。見た目もほとんど同じらしいので、うかつに口にしないことをおすすめします。
私も近くで同じ様な植物を見つけたので、「ありました!!」と見せた所、クレソンでした。
江津湖にクレソンってマジかよ…!と聞いてみたら結構あちこちに生えているらしく
この辺もクレソンらしいです。驚き。
ということで、学芸員さんの力を借りて、七草のうち4種類を発見することができました。
いざ、七草粥に
十分に知識がついたので、この後、私も河川敷や山などで七草を探しました。ここは絵面が相変わらず落とし物を探しているおっさんで、内容も面白くなかったので割愛。
しわくちゃになって何が何だか分からないですが、自力で見つけ出したのは河川敷で見つけた「せり」とひとつまみの「ごぎょう」だけでした。「なずな」もありましたが新芽ではなくペンペン草化していたので、持ち帰りませんでした。
ということで、細かく刻んで、inおかゆ。
あれ。もうなんの期待もせずに作りましたが、見た目は案外行けそう。七草粥と言い張る、二草粥です。
ということで、編集部のみんなに試食してもらいましょう。
まずはムトー。
「草だね」。
続いて、羽田。
「草ですね」。
続いて伊藤。
「草」。
最後に、しゅん。彼はみんなの反応を見て自前のドライネギと岩塩、金の一味を入れ始めました。
もうそれ七草粥ちゃうやん。
「辛い。一味がなじまない」。
ということで、その辺で自生している七草を拾い集めるのは、非常に難しい上に、2種類だけだと草の味しかしませんでした。
スーパーの七草パックがどれだけありがたいのか実感した瞬間です。
皆さまは無理に拾おうとせずに、パックでぜひ春の七草を味わってください。
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