2018年に山鹿市にオープンして以降、人気を博しているケーキ店「ricca」。
ケーキの美味しさはもちろんのことながら、とにかくおしゃれなお店と、カフェとしても利用できるお店として有名なのですが、実はこのお店を運営しているのはオーダーメイドアイスの製造会社。
なんで、アイスの会社が?と思って話を聞いてみると農業や地域の自然や文化を守るための話が聞けました。
山鹿のおしゃれなケーキ屋は農業やアイス工場の会社がやっている
山鹿にある人気のケーキ店「ricca(リッカ)」。おしゃれな建物に自然いっぱいで気持ちの良いテラス、そして美味しいケーキや焼き菓子、ジェラートと県内外から多くの人が訪れる人気のお店です。
実は運営しているのは「パストラル」というオーダーメイドアイスを製造・販売している会社。
確かにジェラートも人気なんですが、やっぱりricca(リッカ)はケーキなイメージですよね。疑問に思ったので、直接聞いてみました。
ということで、今回お話を伺ったのが「ricca」を運営している株式会社パストラルの市原幸夫社長(右)と邦彦さん(左)。
なぜオーダーメイドアイスの会社が、超おしゃれなケーキ屋を運営しているのか聞いてみました。
「ricca」が開店したときは、山鹿にこんなおしゃれなお店ができるのか!とびっくりしました。今では観光名所のようになってますもん。
ありがとうございます。今度は作るだけじゃなくて、売るところも自分たちでやりたいねって初めたんですよ。
実はモンブランも自分たちで栗を生産して、ペーストに加工しているんですよ。だから他では真似できないほど栗の配分の多いペーストが作れるんです。そうしてできた濃厚が人気を呼んでいるんです。
自分たちで栗を…?農業もされているんですね。
もともと、うちは物産館に並べる商品を考える会社だったんですよ。農産加工品とか。
農産加工品?
そうですね。実はルーツは農業にあるんです。
農産加工品といっても、よく地元の人が作ったお饅頭とか物産館に売ってあるでしょう。ああいうのです。
じいちゃんばあちゃんの手作りってだけで美味しくてよく買います。
そう。よく売れるんですよ。そうするとこれまで年に数回しか作っていなかったものが、毎日になって「これまで作るのが楽しかったけど、辛くなってきた」と辞められる方も多かったんですよ。当時は農家を引退した方々が中心で60~80歳くらいの方ばかりでしたからね。そうなると、売るものがなくなる。
じゃ地域の農産品を使ったものを自分たちで、そう思って24年前にジェラートを作ったのが「パストラル」の始まりです。
そんな経緯があったんですね。
オーダーメイドアイスの可能性
実は10年前から、中山間地で栗を栽培したり、合鴨農法で農薬を使わないお米を育てたりと里山農業にも着手したパストラル。
農産品を使用しジェラートを作るようになったものの、どんどん農家が減少。農家が減るということは、農産品も減ってしまうので商売が立ちゆかなくなってしまいます。そこで「だったら自分たち農業を」と始めたのがきっかけだったそうです。
自分たちで育てた野菜をアイスで使う、というのが農業からパストラルの流れですよね?
そうですね。県産の素材を使うことで、活性化につなげたいという思いから取り組んでいます。最近で全国から依頼があるんですよ。それこそハーゲンダッツ社やアパレルのGAPがイベントで使用するアイスを発注いただいたりなどしましたね。
他にもANAの沖縄那覇線のプレミアムクラスで配られるジェラートを手掛けたこともあります。逆に、これアイスにしたら面白いよねって、勝手に作って作ってみました!と送ってみたら売らせてほしい!!って言われたこともあるんですよ。
想像以上にデカイところきましたね。どうやったら、そんな大手と取引できるんですか?
いろいろと調べてうちにたどり着いたそうです。うちは小ロットで多品目作っているので、そういうメーカーは珍しいみたいですね。
「ricca」のジェラートもその経験を生かした自家製なのでどれも自信作なんですよ。
すごいですね…。
農業→アイス製造→おしゃれカフェという組み合わせ
まさか人気のおしゃれケーキ店を取材して農業の話まで出るとは思いませんでした。
「山鹿という地域の活性化を考えたときに、まだまだやりたいことがあります。今後はワイナリーや宿泊施設も計画しているんですよ。」と意欲を見せる邦彦さん。
暮らしの中に農業がある、そんな原風景を大事にし、新しい道を模索していきたいです。その中で生まれたのが「パストラル」であり「ricca」なんだそう。
そういう裏側を知ると、人気のお店をもっと楽しめそうです!
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