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【地名について調べてみた】熊本市東区/江津・画図の謎

ライター:羽田さえ 羽田さえ
キーワード:

熊本市北区の地名「立田」「龍田」「竜田」の謎について調べたのは先月のこと。
その時の記事はこちら→【地名について調べてみた】熊本市北区/龍田・竜田・立田・たつだの謎

そんな龍田と同じくらい気になっているのが、東区の「江津」と「画図」は何がどうなってるのか問題。こちらも二つの表記があって、ややこしい地名です。

多くの読者様からも同様のコメントをいただいたため(いつもありがとうございます!!!)、とりあえず江津エリアに行ってきました。


「江津」表記のもの

湖の名前は「江津湖」。「上江津湖」「下江津湖」とも、表記はすべて「江津」です。
ただし江津湖の所在地をGoogleマップで調べたら「熊本市東区湖東3丁目11−8」と出てきました。まさかの江津じゃない。

57号線には「江津団地入口」という交差点もあります。

以前肥後ジャーナルでおじゃました「江藤ボートハウス」があるエリアは「江津1丁目」。

近くにあるバス停は「江津遊園地前」です。ちなみに江津遊園地ってどこでしょう?

まだまだ続きます。

バス停「下江津」を経て下江津6丁目を走っていたところ、ふと気づけば住所は画図東1丁目になっていました。

画図東1丁目交差点。いつの間にか「画図」が出てきています。

「画図」表記のもの

今度は「画図」表記をチェックしてみましょう。

地名では「画図町(えずまち)」や

先ほどの交差点にもあった「画図東」があります。

地域の小学校は熊本市立「画図小学校」です。

バス停で言えば「画図橋」がありますが、「画図橋」バス停が立っているのは江津5丁目。フェイントすぎる・・・。

他に「画図道」や「画図町」というバス停もあります。

どこかを境にして「江津」と「画図」がはっきり分かれている訳ではないのが、何ともややこしいところです。

地域の歴史を調べてみた

とりあえず江津と画図が混在してややこしい、ということしか分からなかった現地調査。

「熊本市歴史文書資料室」や「熊本市立図書館」などを回って資料を探してみました。

『角川日本地名大辞典43 熊本県』は、今回も大活躍。

いくつかの書籍を見てみたところ、実は江津の歴史でもっとも古い表記は何と「依津」なのだそう。
「依津里」といって奈良時代の条里制にもとづく呼称と思われるもよう。かなり歴史のある地名であることがうかがえます。

その後14世紀ごろには「江津」という表記が出てきます。

そして現在の街のベースとなる村落ができたのは、250年ほど前だと言われています。江戸時代半ばごろから今に至るまで、人々の暮らしが続いているのですね。

「江津」→「画図」になったあと、そのまま混在

そんな「江津」に変化をもたらしたのは明治21年4月に公布、明治22年4月に施行された市制・町村制。

江津村、下江津村、所嶋村、重富村、上無田村、下無田村が合併して「画図村」ができました。「画図」表記の登場です。

つまり江津→画図の順ということですね。村の名前としては画図村になっても、それまで続いてきた江津という地名はあちこちで残ったものと思われます。
(ちなみにその後、昭和7年に画図村は熊本市に編入されました。)

江津と画図の謎。
条里制時代の「依津」→武家時代の「江津」→明治時代に「画図村」と変わってきたことが確認できました。

こうした経緯のもとに、現在では「江津」と「画図」が混在しています。江津湖界隈の美しい風景の裏に、そんな歴史があったのですね。

【地名について調べてみた】企画は、龍田に次いで今回の江津で2件目。
他にも気になる地名があるという読者のみなさま、ぜひぜひお知らせくださいませ!

江津湖

所在地

熊本市東区湖東3丁目11−8

ライター紹介

羽田さえ

羽田さえ

県外出身、1970年代生まれのライター。専門分野は旅行関係。巨木、仏像、おいしいもの、レトロなもの、じわじわくるB級系などが好きです。うっかり熊本市から北海道に引っ越しましたが引き続きよろしくお願いいたします。

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