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八代妙見祭と恋物語【お上りは11月23日】

ライター:山田 山田
キーワード:

突然ですが、みなさんは八代妙見祭に行かれたことはありますか?

江戸時代から続く熊本でも屈指の規模のお祭りで、ユネスコ無形文化財遺産なる大層なものにも登録されているそうです。毎年11月23日に開催されます。

ですが、実は私、妙見祭に行ったこと無いんですよね。

そもそも人混み苦手だし、八代ちょっと遠いし…。そんな話をしたところ「ぜひ準備の様子を見に来てください!!」って呼び出されました。

祭りの準備なんて見て何が楽しいんだと思いつつ、誘ってくださった方が若い女性だったので、ホイホイ出向いてしまいました。


八代妙見祭の準備を見学に八代へ!

こんにちは、肥後ジャーナルの山田です。やってきました、八代市。すでにいたるところで「妙見祭」の文字や装飾が見られ、賑わっています。しかしそれよりも、私の脳内はお誘いをしてくれた女性のことばかり。

謎の女性

あのー…山田さん…でしょうか?

振り向くと、なんと可憐な女性!!!もうこれだけでも今回八代に来た甲斐があったってもんです。

この方こそ、今回、妙見祭の案内してくれるカナさん。八代生まれ・八代育ちで妙見祭のことなら何でも聞いてくれとのこと。八代神社(妙見宮)の神職の方のもとへ案内してくれるそうです。

山田

こんにちは!今日は妙見祭の準備を見学させてもらえるそうで…めっちゃ和風の格好!それも妙見祭の衣装なんですか?

カナさん

いえ、コスプレ衣装です。私、本番の衣装は持っていないので雰囲気出すために着てきました。

山田

コスプレなんかい!!!……それは置いておいて……。今日は八代神社に妙見祭の取材ができると聞いてやってきたのですが。

カナさん

はい!!妙見祭って地元の人間にとってはとても大切なお祭りなんですが、とにかく色々凄いのでぜひみなさんにも足を運んでいただきたくて!ただ八代神社に行く前に山田さんも着替えましょう!!

着替えましょう。

女性からのお誘いを断るほど、野暮な男ではありません。

これ…衣装なの…?

カナさん

こちら、神幸行列で使われる木馬です。さ、着替えてください。

山田

着替えるというか、装着するレベルですよね、これ。

カナさん

おおおー!!!似合ってますよ!!かっこいい!!

山田

笑いこらえて言われても説得力ゼロです

山田

こんなん着て八代神社の人に取材なんてできるわけ無いでしょうが!!

カナさん

その木馬も江戸時代から伝わるものを絵巻物を通りに復元した貴重なものなので暴れないでください!!!!!!わかりましたからっ!他の衣装にしましょう。

本番での木馬。写真は妙見祭公式ホームページより

ちなみに、木馬は本番ではこんな感じ。猛々しい馬の動きを再現していて実際はめちゃくちゃカッコいいそうです。

お祭りと言えばこれ!

連れてこられたのはこちら。かつては豪商が使っていた建物で、妙見祭に向けてシャッターを八代工業高等学校の生徒たちがペイントしています。妙見祭では欠かせないある衣装が保存されているのだとか。

カナさん

さて、到着しました

山田

獅子ですね

カナさん

獅子です。この獅子は歴史ある由緒正しいものなんです。普段、めったに触れることのできないものなんですよ

山田

なるほどなるほど。これで取材に行けと?

カナさん

カッコいいーーー!イケメン!!

山田

顔見てもう一度どうぞ

カナさん

こわい

獅子を管理されている中嶋町獅子舞保存会の楮木さんにお話を聞いたところ、この獅子を操る担い手は、1度務めると20年間同じ人が演じ続けるそう。16kgある獅子はとても重く、持つと腕がプルプル。1人前になるまで5年はかかるというほど難しいものなのだとか。

当日の獅子舞。八代妙見祭公式サイトより。長崎のおくんち祭のような中国風の衣装も人でいっぱい!

元禄時代の八代城下の豪商・井桜屋勘七が妙見祭に取り入れたのが始まりだそうで、長崎諏訪神社の「おくんち祭」で演じられてたものを妙見宮に奉納したところからずーーーっと続いているのだとう。雰囲気もなんとなくそんな感じがしますね!

衣装も着せてもらえるとのことでしたので着せてもらいました。

山田

もうこれで良い気がしてきました。これで取材に行きましょう

カナさん

当然ですが、持ち出し禁止なんです

山田

なぜ連れてきた

妙見祭本番の獅子。妙見祭保存会のホームページより。実はミュージカルのようにストーリーに沿って舞っているのだとか

妙見祭と言えばこれ!!

カナさん

今度はここで衣装借りれないか打診してみます

山田

期待はしていません

山田

とうとう着る物ですらなくなりましたね

カナさん

さすがにこれは違います!!ハッピを借りようと思ったんですが、ここに亀蛇(きだ)が保管されているのでせっかくならお見せしたいと思って。地元では”ガメ”とも呼ばれていて、力自慢の男性たちが持ち上げ暴れまわるんです。妙見の神様がこの亀蛇に乗って海からやってきたという伝承になぞらえて、水の中にもバシャバシャ入って行く姿は観物ですよ。

ひたすら話ではなく、カナさんを見つめ続ける山田

山田

(見知らぬ私をここまで案内してくれるなんて…まさか…)

カナさん

あの。話聞いてます?

山田

はい。しかしその話よりも…

…2人の永遠の愛を亀蛇の前で誓いませんか?

カナさん

ちょっと…いや結構ドン引きですが、話を元に戻しますね。

ちなみにこの亀蛇は毛を抜いて大切にしておくと金運が上がると言われいて、当日は暴れまわる亀蛇に大勢の人が毛を抜こうと近づいていくんです。

山田

またフラれたーーーーーー!!!!!!!せめて毛を抜いて金運アップー!

カナさん

ちょっ!マジやめろって!!

大人しく、ハッピを借りて亀蛇と記念撮影。身長186cmの私と比較してこの大きさ。これが5人1組の男たちに持ち上げられて暴れまわるんですからそりゃもう大迫力らしいですよ。

本番での亀蛇。全力で走るので、止めるときは外側から体当りして止めるそう

ちなみにこの亀蛇、新しく作ろうとするなら家1軒建っちゃうような金額するそうです。それが川に入ったりするんだから祭りって恐ろしい。

カナさん

全てにおいてごめんなさい。このあとの練習でそのハッピ着るそうです

山田

……。

確かに入る衣装が合ったけど…。

カナさん

着付けの練習しているところなら、衣装が余ってると思うんです。

そういうカナさんの優しさで、着付けの練習場に。

そもそも私、何が何でも衣装を着たいわけではなかったはずなのに、なぜここまで衣装に翻弄されるのでしょう。

しかし「せめて服を着て体だけは温まりましょう」という八代の人の優しさで、和服を着せていただけることに。山田の夢と希望と脂肪の詰まったお腹は和服にはぴったり。

ベテランの皆さんの手であっという間に着付けが進んでいきます。着付けもなかなか難しく、その技をしっかり残していくために毎回着付け教室を開いているそう。

山田

自分でいうのもなんですが、様になっている気がします。

カナさん

似合ってます!あっちで甲冑も着れるそうですが、この格好で良い気がしますね

山田

甲冑!!!着たい!!!!!

ということで、せっかくの衣装を脱ぎ捨てて甲冑を着せてもらうことに……しかし……

カナさん

これはひどい(笑)。身体が半分しか入りませんね。

山田

何故だ

カナさん

昔の人は小柄だったと言いますからね。山田さん、大柄ですから…諦めましょう。

山田

ヤダ!!着たい!!!これは男のロマンなんです

めっちゃ駄々こねていたら一瞬、達人感あふれるおじい様がなにやらガチャガチャしてくれて…。

なんとかはまった!!私が着る前、小柄な女性が着ていたんですけど鎧ってこんなサイズの応用効くんですか。

残念ながら、顎に当てる部分はお肉が邪魔でどうしても装着できませんでした…。

ということで……!

ということで!!!着せてもらいました甲冑!武者鎧!!!

カナさん

サイズ合わないところで終わってたら面白かったのに、なんで入ってしまったんですか

山田

どうしても着たかったので痛いの我慢しています。全身をコルセットでミッチミチにされているようで、長時間は無理です。もう十分です。脱ぎましょう。

無理を言って着せてもらった甲冑もすぐに脱ぐことに。結局何をしにきたのか…。

やっと本題!八代神社(妙見宮)の神職の方に話を聞いた!

ということで、前置きが凄ーーーーく長くなりましたが、やってきました八代神社。


妙見祭が執り行われる八代神社にやってきました。

今回、お話いただくのは八代神社の権禰宜(ごんねぎ)小林さん。

山田

こんにちは。八代妙見祭についてまーったく知らないので教えて下さい

小林さん

お越しいただきありがとうございます!八代妙見祭は八代神社(妙見宮)の祭祀である例大祭のことです。さまざまな行事の中で、11月22日、23日の御神幸式で神様が御旅所や地域を回る際、地域の皆さまがともに練り歩き盛り上がりを見せています。

山田

先程、神幸行列で使われる亀蛇や獅子、木馬などを着て…見てきました。

小林さん

歴史あるものばかりで、見ごたえがあったでしょう!当日はどれも力強い動きを見せてくれるので、迫力も凄いですよ!

山田

お祭りそのものを見たことが無いのですが、小林さん的に見どころはどこでしょう。

八代妙見祭の代名詞ともいえる「笠鉾」。それぞれ由来のある9基の飾り物。写真は妙見祭公式ホームページより。

小林さん

見どころはやはり神幸行列です。行列の全長は約1.5キロ。こんな時代絵巻の行列を行う祭りは全国でも珍しいんですよ。

その中でも笠鉾(かさぼこ)を一番みていただきたいですね。歴史や文化を知らなくても「きれいだな」と思えるものばかりです。祭りを豪華絢爛に見せるためのもので、八代市民からも大切にされているものです。

山田

今回は見てないですね…。当日はぜひ見たいと思います!!

小林さん

あとは馬追いですね。飾馬を人々が走って追うのですが、間近で見ると迫力満点です。砥崎河原(とさきのかわら)にも入るので、水しぶきがあがるたびに大きな歓声が響き渡ります。

山田

それもぜひ見てみたいです!今回は木馬しか着てな…見てないので、本物の馬も見てみたい!

あと話は変わるんですけど……

山田

足がしびれたので、他のところで話しませんか?

山田

お話の途中で失礼いたしました。神幸行列の出し物はどれも見たい!と思うものばかりなんですけど、やっぱりお店も一杯立ち並ぶし、そういうのも楽しめますよね。

小林さん

そうですね。私達は祭祀として執り行いますが、地域の皆さまや観光で足を運んでいただく方には純粋にさまざまな催しを楽しんでいただきたいと思っています。一番の賑わいを見せるのが、神様が妙見宮にお戻りになる23日のお上り、前日22日のお下りという2日間に渡る御神幸式ですが、祭祀は11月1日から12月1日までずっとやってるんです。催しもたくさんあり、そういった部分も含めて楽しんでもらえると嬉しいですね。

カナさんをまだ目で追ってしまうストーカー気質の山田

小林さん

ユネスコの無形文化遺産に選んでいただくなどご注目いただき、足を運んでくださる方も年々増えています。地域の皆さまからご協力いただいてなり得るものですので、地域そのもの文化として知っていただきたいですね。……どこ見てるんですか?

山田

いっ、いえ!聞いてますよ?実際に準備風景を見学してきたのですが、本当に地域のみなさんが愛しているお祭りなんだなと実感しました。あれだけ魂のこもった準備をされているなら、当日も楽しみです!ありがとうございます!

まとめ

ということで、今回も山田の恋は叶わず…。

八代妙見祭は11月23日にお上りがあり、神幸行列などを楽しめます。今までなかなか八代まで足を伸ばして参加しようとは思いませんでしたが、実際に当日使われるものを見たり、歴史を聞くとこれは絶対行く価値あり!と思わせてくれるものでした。書ききれないほどの歴史や伝統、魅力がたっぷりでしたので、みなさんもぜひ遊びに行ってみてくださいね!!

八代妙見祭の公式ホームページはこちら

ライター紹介

山田

山田

肥後ジャーナル編集部の大きい人。前職は地域経済誌記者やマーケティングのディレクター。将来の夢はヒモになること。 特技は誤字脱字。朝起きるのが苦手です。

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